東南アジア最強のOTAはこう考えている-Traveloka副社長に聞く
決済やマーケティングの“イノベーション”で世界へ
めざすは「旅行とライフスタイル」の代名詞
東南アジアを代表するOTAとして旅行とライフスタイル関連の予約プラットフォームを提供するインドネシアのTraveloka(トラベロカ)は、このほどシンガポールで開催された「ITB Asia 2019」の会場で本誌の取材に応え、急拡大している事業の現況や今後の展望などについて語った。同社は2012年にジャカルタで設立したスタートアップで、評価額10億ドル以上の未上場企業を指す「ユニコーン」の1つとして知られる。アゴダやアストン・ホテルズ&リゾートのマネージャー職を経て14年に入社し、現在はホテル予約部門の開発責任者を務めている、宿泊市場管理担当副社長のジョン・サフェンソン氏に話を聞いた。
ジョン・サフェンソン氏(以下敬称略) 12年の設立時は航空券比較検索サイトから事業を開始したが、ユーザーは同一のウェブサイト上で検索から予約、決済までを一括で済ませることを求めていたので、翌年にはOTAへと業態を変更した。14年には私が入社して、インドネシア国内のホテルの取り扱いを開始し、15年には人口2億5000万人超を抱えるインドネシアから、近隣の有望市場であるシンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピンへと進出して、それぞれの市場で現地オフィスを開設した。
その後は取扱商品のカテゴリーを拡大し続け、航空券、ホテル、航空券とホテルのパッケージ商品に加えて、ヴィラやアパートメントなどの民泊物件、鉄道、長距離バス、空港への送迎を、そしてアクティビティ、スパなどの取り扱いを「トラベロカ・エクスペリエンス」として始めた。最近では「トラベロカ・イーツ」として、レストランやホテルで使えるクーポンの形で飲食の取り扱いも開始したが、これはインドネシアにおけるレストラン予約としては革新的なビジネスモデルだったと言える。
我々はカスタマージャーニーについて考える時、些細なことでも念頭に置いている。例えば「国際データパッケージ」も販売しているが、これによりユーザーは旅行先でSIMカードを買わなくても、簡単にデータ通信を利用することができる。私も今回の出張では7日間のデータパッケージを買い、インドネシアにいる時と同じSIMカードを使いながら、シンガポールに滞在している。
また、我々はカスタマーエクスペリエンスを究極的な行動規範と位置づけており、クレジットカードを持たないユーザーへの対応や、後払いサービスの「PayLater」の開始など、様々な形でユーザーの利便性の拡大に務めてきた。そのような取り組みの結果、我々のアプリは4000万人のMAU(月間アクティブ・ユーザー)を有する、地域では最も信頼されるブランドの1つになることができた。