英国、ブレクジットは「影響なし」、日本市場に期待強く
[西安発] 英国政府観光庁(VB)でディレクターとして中国と北東アジアを担当するマニュエル・アルバレス氏は11月26日、先行きが注目される“ブレクジット”について「影響はないというメッセージに尽きる」とコメントした。VBが26日に中国の西安で開幕した商談会「Destination Britain China and North East Asia」で本誌取材に応じ語ったもの。
イベントは中国を中心に日本と韓国の旅行会社と現地サプライヤーが商談するもので、バイヤー80名超とセラー60名超が参集。アルバレス氏によると、同イベントは今年で11回目の開催だが日本が対象となったのは昨年からで、これ自体が日本市場への期待の表れだ。
2018年の英国への日本人訪問者数は約24万7000人で、2019年はまだ公式の数値が出ていないものの昨年を上回る見込み。アルバレス氏は日本市場について、「インバウンドの増加やそれに伴う航空路線の拡充、そしてラグビーワールドカップ、オリンピックとすべてポジティブな話題にあふれている」と評価。そして、昨年の就任後に最初に実行したのが日本市場向け予算の増額であったことも紹介し「日本市場はより注目、注力するにふさわしい市場」と語った。
特に航空路線の充実では、昨年にブリティッシュ・エアウェイズ(BA)が関空線を20年ぶりに再開したことなどもあり、日英間の座席数は2017年から現在までに座席数が12%増加している。アルバレス氏は「BAは路線を新たに就航する際、非常に綿密な収支計画を立てる」と語り、BAが関空線に勝算を持っていると分析。
BAについては、日本航空(JL)との3者合同で東京と大阪を舞台に交通広告を展開。東京は11月11日から私鉄5線の車内で動画広告や中吊り広告を出稿し、大阪では25日から大型デジタルサイネージを活用して動画広告を放映している。JLとBAが共同でマーケティングキャンペーンを実施するのはこれが初めてといい、アルバレス氏は、「英国を訪れる日本人の93%は飛行機を利用する。座席シェアの高い2社との共同プロモーションは意義深い」と手応えを語り、さらなる路線誘致にも意欲を示した。
また、旅行会社との関係についてアルバレス氏は、「幅広い旅行会社と協業していきたいが、現状のリソースでは難しい」としつつ、「とはいえ、将来に渡って何もしないというわけではない」と言及。一例として「会社の規模は関係なく英国を販売するご意欲のある旅行会社の皆様とは、できることの可能性について是非お話したい」という。このほか、日本市場における戦略としては、訪問者数と消費額に加えて需要の地方分散と時期の分散にも取り組んでいきたい考えだ。
そしてブレクジットについては、「英国にとって観光は第3位の輸出産業であり、多くの中小企業が関わっている重要な産業」であることに加えて、「観光産業は2ヶ国間の協定などを必要としない」ことから、どのような結果になっても影響は生じないと予測。さらに、英国政府が重点産業を長期的に育てるために策定した戦略(Sector Deals)に観光産業も選ばれていることを紹介し、日本に対しても「お客様を変わらず歓迎し、プロモーションを継続していく」メッセージを伝えていきたいと語った。