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「LINEトラベル」の衝撃から1年、新たに「おでかけNOW」投入

2年目は新サービスでタビナカに本腰
舵取り役の藤原氏に聞く今後のビジョン

藤原氏  圧倒的なユーザー数を誇る人気コミュニケーションアプリを提供するLINEが、比較検索サービス「LINEトラベル」を立ち上げ(その後、ベンチャーリパブリック「トラベルジェイピー」との統合により「LINEトラベルjp」に改称)、旅行事業に参入してから1年。すでに250以上の旅行関連サイトの比較検索に対応し、ポイント還元などの各種施策も実施しながら事業を拡大しているが、舵取りを担うO2OカンパニーのカンパニーエグゼクティブCMO(最高マーケティング責任者)の藤原彰二氏は現在、日本の旅行市場と業界に与えた影響をどのように見ているのか。また、6月27日の「LINE CONFERENCE 2019」で発表した新サービス「おでかけNOW」ではどのような展開をめざすのか。詳しい話を聞いた。

-まずは1年間の成果や手応えについてお聞かせください

藤原彰二氏(以下敬称略) 昨年6月に宿泊施設の比較検索サービスの提供を開始し、10月には航空券、今年1月にはツアーと順次取扱対象を拡大した。現在の「LINE」の国内月間アクティブユーザー数は約8000万人に上るが、「LINEトラベルjp」の公式アカウントのフォロワーは1700万人を超えている。数多い「LINE」の公式アカウントのなかでも、1年間で1700万人というのはトップ5に入る増え方だと思う。

 利用動向については、ユーザー1人当たりの年間平均予約回数は2.5回だった。そのうち1回のみのユーザーは30%なので、70%がリピートしたことになる。現在は国内旅行の予約が中心だが、海外旅行もアジア圏などが増加傾向にある。

-すでに250社以上と接続していますが、分野別の内訳は

藤原 接続している旅行サイトの大多数はツアー分野の商品を提供している旅行会社だ。ツアーの場合は1社で1商材のみ掲載しているケースもあるので、会社数が多くなる傾向がある。逆にホテル分野は上位のプレイヤーが強いので、数を絞り込んでいる。実際の販売額の構成比率では宿泊が最も大きく、以下はツアー、航空券となっている。

-2019年度の目標として流通総額1000億円の目標を掲げていましたが

藤原 かなり高めの目標を掲げたこともあり、達成できるか否かについては現時点では何とも言えないが、全体としては順調に伸びている。直近の19年度第1四半期(19年1月~3月)の取扱高は、前四半期(18年10~12月)に比べて356.1%増の大幅な伸びとなった。宿泊、航空券に続いてツアーを商材に加えたこともあるが、施策面では「20%ポイントバックキャンペーン」などのポイント還元が効いた。

 ポイント還元の効果は非常に大きく、コンバージョン率が8倍へと飛躍的に向上したケースもある。コンサルティングの経験上、一般的なウェブサイトでのコンバージョン率は1%から5%の範囲が多く、「LINEトラベルjp」のコンバージョン率も特に低かったわけではないが、8倍にまで向上したのは他業種と比べても極めて異例のことと言える。

 これほど成果が上がった理由は2つ考えられる。まずは、ポイント還元にはキャンセル率を抑える心理的効果があるので、キャンセル率を大幅に抑えることができた。もう1つはこの4月に、国内の旅行比較検索サイトでは初めて購入完了通知の即時配信サービスを始めたことで、「LINEトラベルjp」のアプリ版経由で商品を予約・購入したユーザーには、購買完了から15秒以内に通知を配信している。