旅行会社が学生インターンを物にするには-JATA説明会から

今年は実施前に立教大の専門家が講演
再考すべき「その目的と活用法」とは

薬師丸氏  他業界と同じく、旅行業界においても人材不足と採用難が課題となっているなか、日本旅行業協会(JATA)が力を入れているのが会員企業による合同インターンシップ。6回目となる今年度は、受入企業担当者向けの事前説明会では初めての試みとして、外部からインターンシップに関する専門家を招き、講演会を実施した。立教大学法学部特任准教授で日本インターンシップ学会理事も務める薬師丸正二郎氏(薬は旧字体)による講演「JATA旅行業インターンシップ実施に向けて、その目的と活用法について考える」の概要を中心に、説明会の様子を紹介する。

学生は2割のなかでの競争をめざす

 薬師丸氏はまず、インターンシップに参加する学生たちの実態について、2020年3月卒業予定の大学3年生を対象にディスコが実施し、今年1月に発表した「キャリタス就活2020学生モニター調査結果」をもとに解説。それによると回答した学生のインターンシップ参加率は18年卒が81.3%、19年卒予定が81.9%であったところ、20年卒予定は89.2%にまで参加率が上昇しており、学生のインターンシップに対する関心に高まりが見られるという。

 その上で薬師丸氏は「学生は企業の採用に関する『2対2対6の法則』、つまり2割がインターンシップ参加者の枠、2割がリクルーター枠、6割が一般募集という現実を知っている」とも説明。インターンシップに対する関心の高まりの背景として「ゼロベースのまま6割のなかで戦うよりも、2割のなかでの競争を選びたい学生の心理が表れているのでは」との見方を示した。

 インターンシップに参加する企業と学生との関係については「参加企業からアプローチを受けた」と回答した学生が86%に達していることに着目。「インターンシップは1997年の文部省(現在の文部科学省)・労働省(厚生労働省)・通商産業省(経済産業省)の3省合意で明確にされているように、本来は教育活動の一環として行われるべきものだが、良い悪いは別として、学生にとっても企業にとっても就職活動や採用活動の一環となっている」と現況を伝えた。