Ctrip、日本で成功する中国企業へ、都心にコールセンター開設
中国の上海に本社を置くCtrip.com Internationalは11月28日、東京都港区に、運営する旅行予約サイト「Trip.com」の日本人ユーザーのためのコールセンター「Trip.com カスタマーサポートセンター」を開設した。田町エリアのビルのワンフロアを丸ごと使用するもので、日本語のネイティブスピーカーによる、日本人海外旅行者の特性にあわせた対応でユーザーの満足度を高める考え。設立計画については、8月に来日したグループ副総裁コーポレートアフェアーズ担当のヴィクター・ツェン氏が、本誌の取材に対して明らかにしていた(関連記事)。
背景には、圧倒的な認知度を誇る本国以外でのブランド名を「Ctrip.com」から「Trip.com」に変更する「デュアル・ブランド戦略」を昨年に開始し、今年から日本でも認知度向上に向けた事業展開を本格化していることがある。28日に開催したメディア向け発表会でTrip.com Japanゼネラルマネージャーの吉原聖豪氏は、今回のコールセンター開設について「航空券取扱高が前年比で3桁台の伸びを示している日本市場へのコミットメントの現れ」とアピールした。
終了後の本誌の取材に対しては「投資額は具体的には申し上げられないが、かなりの額に上る」と説明。また、現在の日本では知名度と業績の両方で成功を収めている中国企業は少ないものの「我々は日系航空会社などを含む、各社の高品質な商品を取り扱っている」と語り、サービス面の強化によって日本でも成功できる可能性は十分にあるとの見方を示した。今後はタビナカ商品やレンタカー、空港間送迎など取扱商品を拡大して「ワンストップサービスショップ」をめざし、内外問わず比較検索サイトなどとのパートナーシップも拡大して販売網拡大に努める方針。また、各種施策やキャンペーンなどで認知度の向上もはかる。
「Trip.com カスタマーサポートセンター」の現在のオペレーター数は10数名。ただし業務用スペースは同時に90名以上が勤務できる広さで、今後は日本人ユーザーの増加にあわせて随時増員する。オペレーターはネイティブレベルの日本語能力が必須で、あわせて業務上必要となる英語にも流暢さを求める。サービスは365日提供し、早期に24時間体制に移行する予定。これまで日本人ユーザーからの問い合わせに対応していた、中国本土のカスタマーサポートチームについては存続するが、今後はサプライヤーとの交渉など、主に日本のセンターの支援にまわるという。
コールセンターの詳細について説明したTrip.com Japanカスタマーサービスマネージャーの鎌田恵理氏は、コールセンター運営は「離職率との戦い」であることについて述べた上で、「優秀な人材の確保と、長期雇用のための良い職場環境」にこだわったことを説明。人材を集めやすい首都圏のなかでも、賃貸料が比較的安い郊外などではなく都心にセンターを構えたことについては「スタッフが通いたくなる立地が重要」と語った。
カフェテリア風の一角や、「マザールーム」など各種の休憩スペース、「Nintendo Switch」を用意したゲームルームなど、充実した設備は「他のコールセンターでは類を見ないレベル」という。新人オペレーターには4週間以上の研修プログラムを提供し、十分に育成してから業務を開始させる。
なお、同社はすでに英国のエジンバラに欧州各国語対応、広州に広東語対応のためのコールセンターを開設しており、先月にはソウルにも韓国語対応のためのセンターを開設。鎌田氏によれば、Ctripが日本よりも大きな市場シェアを有している韓国では「質問があると、まずは真っ先に電話をかけてくるユーザーが多い」ことから、ソウルのセンターの規模は東京を上回るという。一方で日本人ユーザーは、ネット上で予約などを終えているにもかかわらず、「現地で何かトラブルが起こった場合にコミュニケーションを取れるかどうかが心配で、『予約は間違いなく取れているか』などを確認するために電話をかけてくるケースが多い」という。