未来の業界人が先輩から学ぶこと、「学生記者」第1弾
-お相手はJTBの市川翔子さん

【TV×東洋大・島川ゼミ共同企画】
パッケージツアーへの熱い想いから知る「旅行会社の強み」

JTB 海外仕入商品事業部 アメリカ・オセアニア部 アメリカ・オセアニア地上手配課の市川翔子さん

旅行業界での人材確保の必要性が指摘されて久しい。インバウンドはかつてない盛況を迎えているものの、必ずしも旅行会社の人材不足解消には繋がっていない。旅行会社への就職を検討する学生が、どのような情報を必要とし、何にためらうのか。この大きな問いに対し、トラベルビジョンでは東洋大学国際観光学部島川ゼミナールの協力のもと、現役学生が記者となり、OB・OGにインタビューする特別企画を開始した。第1弾となる今回は、東洋大学国際地域学部国際観光学科を2016年に卒業され当時のJTBワールドバケーションズへ就職された市川翔子さんにお話をお聞きした。

お相手:JTB 海外仕入商品事業部 アメリカ・オセアニア部 アメリカ・オセアニア地上手配課の市川翔子さん
聞き手:東洋大学国際地域学部国際観光学科3年 島川ゼミ 内藤徹さん
-市川さんが現在担当されいるお仕事の内容や特徴を教えてください

市川翔子さん(以下、敬称略) 海外仕入商品事業部という事業部の中のアメリカ・オセアニア部のアメリカ・オセアニア地上手配課というところで働いてます。地上手配なのでホテル、レストランやオプショナルツアーを予約する仕事が中心です。販売店のカウンタースタッフの方々がお客様の行きたい旅行をヒアリングし、実際に現地とやり取りをして予約をすることが仕事のメインです。またトラブル対応や、お客様からのご帰国後のお声の対応も担当します。

 国内の販売店だけでなく、オーストラリアであればケアンズ支店などの現地支店もあり、その先にお客様がいるため、直接お客様と電話をするということはありません。端的にいえば全部の中継ぎ、お客様と販売店様と現地との間に立つ橋渡し役ですね。

-旅行会社を選んだ理由を教えてください

市川 東洋大学国際地域学部(現 国際観光学部)には、募集型企画旅行演習という授業があり、そこでのシンガポールでの経験がきっかけです。どういうことかというと、募集型企画旅行演習は大学の講義の中でパッケージツアーの企画担当者のお話を伺い、社内見学もさせてもらった上で実際にツアーに参加してみるという授業でした。そしてそのツアー中、授業の一環ということで、宿泊先ではないマリーナベイサンズを見学できるよう旅行会社の方がホテルへ交渉していただき、実際に入ることができました。

 個人旅行でホテルと交渉して見学できるようになるということは、普通できないですよね。しかも、最上階にあった宿泊者しか入れないチョコレートバーに行くことができたんです。そこで食べたチョコレートバーが人生で一番おいしくて、今でも忘れられない味です。

 この体験から、旅行会社とホテルが長年築き上げた信頼関係があるからこそ提供できる、個人旅行では味わえない旅の「付加価値」に気づくことができました。この信頼関係は、絶対無くしちゃダメだと思っています。パッケージツアーのシェアは年々下がっていると思います。でも、これほど長い間、長い時間をかけて築き上げた信頼関係で成り立ってるもの、それは無くしていけない文化、商品だと思い、パッケージツアーを無くしたくないという思いが芽生えて旅行会社に興味を持ちました。

 就活では、2010年の「ルックJTBの決心」という、JTBがいち早く他社に先駆けて取り入れた取り組みを見て、JTBだったらもっともっと募集型企画旅行を良くしていく風土があるんじゃないかと思い、JTBワールドバケーションズが第一希望でした。