コスタ新支社長の浜岡氏、航空業界の経験活かしクルーズ市場拡大へ
初心者もリピーターも楽しめるカジュアルクルーズを訴求
日本初の全額返金制度も
カジュアルなクルーズで日本でも人気を集めているイタリアのコスタクルーズ。今年8月には、航空業界で実績を重ねてきた浜岡聡一氏がコスタグループ・アジア日本・韓国支社長に就任した。18年は「コスタネオロマンチカ」(約5万7000トン、乗客定員1800人)で日本発着クルーズを計33本設定しており、19年も5月から11月にかけて太平洋周遊と日本海周遊クルーズを積極的に展開する。「日本のクルーズ市場の裾野を広げたい」と話す浜岡氏に、就任後の所感や今後の取り組みについて聞いた。
-これまでの経歴をお聞かせください
浜岡聡一氏(以下、敬称略) 大学卒業後、日本交通公社(現JTB)に入社し、神戸で法人営業を担当した。パンアメリカン航空が太平洋路線をユナイテッド航空(UA)に売却した直後の1986年にUAに入社し、関西と東京で営業やマーケティングの責任者を務めた。
2016年に全日空(NH)が発表した中期経営計画で、LCCでリゾート地へのレジャー路線などを増やす話が出たとき、日本はLCCのシェアが低いが今後は伸びていくと感じ、興味を持った。そうしたきっかけがあり、17年3月にバニラエア(JW)に入社した。JWでは販売促進部長として営業とマーケティングの両方を統括し、デスティネーション開発にも取り組んだ。
-コスタグループに入社した理由を教えてください
浜岡 JWがピーチ・アビエーション(MM)と合併する話が発表になった1つの節目のタイミングで、たまたまコスタからお話をいただいた。日本のクルーズ人口は31万人だが、100万人のポテンシャルがあるマーケットだと思い、伸びしろはまだまだあると感じたことから、入社を決めた。
そもそも、個人的に乗り物が好き、というところも大きいと思う。飛行機の自家用操縦士の免許や小型船舶の免許を持っているくらいだ。クルーズは昔から好きで、これまでにもプライベートで楽しんできた。最初のクルーズ体験は、ヘルシンキ/ストックホルム間のタリンク&シリヤライン。その後、エーゲ海を4泊5日で回るクルーズや、クイーン・エリザベス2、飛鳥にも乗った。最近ではプリンセス・クルーズの日本周遊クルーズを楽しんだ。
-就任されて1ヶ月ほどですが、航空業界とクルーズ業界の違いについてどうお考えですか
浜岡 流通は、旅行会社が中心という点でFSCとクルーズは似ており、違和感は全くなかった。UA時代はグアム、ハワイ線などのレジャー路線も担当した。コスタでお付き合いする旅行会社はUA時代とほぼ同じだ。
一番差を感じているのは、予約のタイミングがクルーズのほうが早いということ。1年以上先の商品も販売するので、先を見ながら営業しなければいけない。
日本ではクルーズは高いイメージがあり、旅行の選択肢になかなか入りにくいのが現状だ。しかし、コスタのようなカジュアルクルーズをもっと知ってもらえれば、市場の裾野が広がるだろう。LCCでも、それまで飛行機に乗らなかった人の需要を開拓しており、その点はLCCと似ていると思う。