JTBの「無人店舗」とは?-テレビ電話でリモート接客、地方展開も

「ウェブ」と「リアル」の中間ねらう
リモート接客で募集型企画旅行を提供

ラウンジの外観 JTBは今年6月、福島県いわき市の「イオンモールいわき小名浜」に、リモート接客型の旅行ラウンジ「MY TRAVEL LIVING」を開業した。旅行相談のカウンターを置かず、販売スタッフもいないラウンジで、ラウンジ内に設置されたTVモニター経由でコールセンターのオペレーターが旅行相談と予約を受け付ける「リモート接客システム」を実施する。旅行契約はコールセンターとの通信販売による契約として実施し、コールセンターが後日契約書面と支払いに関する書類を利用者に送付する。なお、ラウンジには利用方法を案内するためのスタッフが1、2名常駐する。

矢澤氏  JTBは2018年度から22年度までの5年間、デジタル技術や新規事業開発に計1000億円を投資する計画を発表しており、「リモート接客システム」はデジタル技術を活用する取り組みの一環。JTB個人事業本部事業統括部推進担当マネージャーの矢澤宏哲氏は本誌の取材に応え、数年前からテレビ電話を活用した店舗サービスを検討してきたことを説明。「AIやIoT、チャットボットなどのコミュニケーションツールが多様化し、リアル店舗かウェブ販売か、という2択でなくなりつつあるなかで、『リアルとウェブの中間』としてラウンジを開業するタイミングだと感じた」と語った。

 このほか、蔦屋書店が単なる本の販売ではなく店内で過ごす時間を重視した店舗を展開するなど、「時代の流れとして施設内での活動を重視した店舗が増えつつある」こともラウンジ開設の一因と説明。イオンモールいわき小名浜内に開業したのは、同モール内とその周辺に他社を含め旅行会社の店舗がないため、一定の来店者が見込めることなどが理由という。

 同氏はラウンジを「デジタルテクノロジーとヒューマンタッチを融合した次世代型店舗」と位置づけていることを強調。「旅行は無形の商品のため、人によるコンサルティングが必要な部分はまだある。例えば旅館を単に1室予約することはウェブサイトでもできるが、3世代でコネクティングルームを2部屋利用したい、などのこだわりがあるお客様の場合は人を介在したサービスが必要」と語った。

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