宿泊予約売買のCansell、OTAと比較検索開始、認知向上へ新制度も
国内の宿泊予約の権利を売買できるウェブサイト「Cansell」を運営するベンチャー企業のCansellはこのほど、ウェブサイトのリニューアルを実施した。新たな機能として、サイトでOTA4社が提供する国内宿泊施設との比較検索機能の提供を開始。サイトでのサービスを強化することで、Cansellの認知度向上と、宿泊予約権売買のさらなる活性化につなげたい考えだ。
「Cansell」は宿泊施設の直販、または旅行会社を介した宿泊の予約をキャンセルしたい旅行者が、宿泊予約の「権利」を出品して他者に販売できるウェブサイト。自社で宿泊予約の買い取りも実施している。代表取締役の山下恭平氏は本誌のインタビューに応え、「Cansellを開始する前からOTAとの比較検索機能は構想としてあったが、サービスの開始当初は宿泊予約の売買がビジネスになるのかを検討する段階だった」と説明。「ビジネスとしてやっていけると思ったので、次のステップとして比較検索機能を開始した」と話した。
同社では比較検索機能を導入する前に、ホテル料金の一括比較サイト「ホテルズコンバインド」の検索ツールを試験的にウェブサイトで利用できるようにし、ユーザーの利用動向から比較検索のニーズがあることを確認。山下氏は「OTAと比べることで、Cansellの安さがユーザーにより伝わるはず。OTAのほうが安いものもあるが、ユーザーの利便性の向上とCansellの活性化のためには比較検索機能は必要」と強調した。
比較検索機能では、「じゃらん」「Agoda」「Booking.com」「Hotels.com」とアフィリエイト方式で提携しており、ユーザーはOTAのウェブサイトに遷移して施設の予約をする必要がある。山下氏によると、今後も数社程度と提携する予定という。
このほか、山下氏は宿泊予約の権利をOTAやメタサーチに掲載する可能性についても言及。「成約率が高まるので宿泊予約権利の出品者にとっては嬉しいと思う。掲載してもいいと思っているが、OTAやメタサーチの判断による」とコメントした。
比較検索機能の導入に際し、今までは口コミのみでほとんど実施していなかったという、マーケティングにも取り組む。山下氏は「マーケティングしないでもこれまできちんと成長してきた」と振り返るとともに、今後はウェブ広告などでアピールを強化し、事業を拡大する方針を示した。他社との提携も検討しながらユーザーを増やしたい考えで、将来的には「宿泊予約売買のオフィシャルなプラットフォームになりたい」という。
なお、Cansellの会員数は現在1万3000人で、宿泊予約の平均単価は3万5000円程度。宿泊予約の取扱件数や成約件数、売上高は非公開。
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