トップインタビュー:ポナン日本駐在マネージャーの伊知地亮氏[PR]
日本での取組強化、東南アジアや大洋州の探検クルーズ訴求
地中海クルーズもアピール
小型船で極地探検クルーズなどを展開する、フランスのラグジュアリークルーズ船社、ポナン。5月末に初の日本駐在ビジネスディベロップメントマネージャーとして伊知地亮氏を指名し、日本市場を強化する方針を発表した。同氏はフリーの極地探検ガイドとして活躍したのち、17年からポナンの専属となり日本市場でのマーケティングなどを支援していた。ポナンは今後、日本でどのように展開するのか。伊知地氏に話を聞いた。
-日本市場での活動を強化する理由を教えてください
伊知地亮氏(以下敬称略) ポナンは現在、1万トン前後の小型船5隻と、1443トンのヨット「ル・ポナン」1隻を保有しており、21年までに探検船5隻と砕氷船「ポナンアイスブレーカー」1隻を増やして12隻体制となる。これによって販売する客室数が大幅に増えるため、昨年に全世界を対象としてクルーズ旅行の現状を調査して重点市場を決定した。そして日本は重点市場に選ばれたため専任の担当者を置くこととなった。当面は1人で対応するが、将来的にはスタッフを増やして事務所を立ち上げたい。
日本が重要である一番のポイントは、多様なクルーズを販売できる潜在需要があること。現在、南極クルーズには日本人が年に300人から400人が参加しているが、南極以外のクルーズはまだそれほど売れていない。
南極クルーズは南極の氷が溶ける11月下旬から2月下旬までの3ヶ月間限定で実施しているが、今よりさらに著しく成長するとはあまり思えない。日本のクルーズ人口が増加してリピーターが増え、旅行者のFIT化が進むなか、南極の次の行き先としての北極や、東南アジアやオセアニアなどでの探検クルーズ、南極よりも単価が安い地中海でのクルーズなど、他のクルーズも日本で販売できると考えている。21年には、南極クルーズの2倍から3倍のお客様を南極以外に送客したい。
-ポナンは「極地クルーズ」というイメージが強い印象です
伊知地 我々は南極に今年から4隻を配船しており、ラグジュアリーな探検クルーズとしては世界のリーダーだと思っている。「ポナン=極地クルーズ」のイメージは実際に強いが、極地クルーズのシーズンは南極と北極を合わせても3ヶ月間のみ。残りの9ヶ月で実施しているクルーズをアピールすることが重要だ。
例えば、地中海クルーズでは小型船ならではの小回りをいかし、ギリシャのコリントス運河を通過するほか、大型船では訪問できない小さな港や島を訪問している。船を沖止めする場合も、お客様は1隻あたり約200名なので、120人乗りのテンダーボートで2往復すれば、全員が目的地に到着でき、移動にあまり時間がかからない。
探検クルーズでは、6月17日にマニラを出発し、ボルネオやインドネシアの北スラウェシ州の島々やモルッカ諸島などを巡り、29日にオーストラリアのダーウィンに到着する12泊13日の探検クルーズを実施している。日本から飛行機で数時間のマニラから乗船し、すぐに手付かずの自然を楽しむことができる。探検クルーズが気に入ったお客様には、こうした手ごろな移動時間で参加できる探検クルーズを楽しんでいただきたい。