トップインタビュー:ベストワンドットコム代表取締役社長の澤田秀太氏
マザーズに船出、クルーズ市場拡大の波に乗り
「独自のビジョンで新たなビジネス」
2005年に設立し、クルーズ旅行に特化した予約サイト「ベストワンクルーズ」を運営するOTAのベストワンドットコムは4月25日、東証マザーズに上場した。新たに調達した資金はチャータークルーズの実施資金や新たな人材の確保、集客拡大に向けた広告宣伝などに充当する考え。日本発着クルーズが増え、日本のクルーズ人口も増加するなか、同社は将来に向けてどのような未来を描いているのか。エイチ・アイ・エス(HIS) 代表取締役会長兼社長の澤田秀雄氏の長男でもある代表取締役社長の澤田秀太氏に、現在の事業と今後の展開、さらにはこれまでの経歴や旅に関する思いなどについて語っていただいた。
-東証マザーズに上場を果たしましたが、まずは感想をお聞かせください
澤田秀太氏(以下敬称略) 投資家の方々の期待は高いと感じている。初値は上振れしたが、あまり一喜一憂せず、しっかりとクルーズビジネスに取り組んでいきたいと考えている。調達資金の使途は7割をチャータークルーズの実施に関する費用、2割を新規採用を含む人件費、1割をブランド認知度向上のための宣伝費に使いたいと考えている。弊社はまだまだ小さな会社で、認知度や信用力はそれほど高くないが、上場で内容をオープンにすることで、ブランディングや信頼度を強化できると期待している。
日本発着クルーズが増えるなど、ここ5年ほどで日本でも船旅の認知度は高まったと実感している。その波にしっかりと乗って、パートナーである船会社のためにも販売を伸ばしていきたい。現在の契約パートナーは60社以上で、ウェブサイトに掲載しているコースは1万7000以上に上る。取り扱っているコースの数は日本最大級と言っていいと思う。
-今後の事業のビジョンは
澤田 日本発着の外国船チャータークルーズを実施したい。時期や出発日、予算などを戦略的に考え、2年から3年以内にチャレンジしたいと考えている。まずはゴールデンウィークに6泊か7泊のチャーターを1本実施したい。初めのうちは他社との提携などによる販路強化が必要になるが、経験値やノウハウを貯めていきたいと考えている。
そのほか、将来的には新たな船会社を日本市場に紹介すべく、GSA事業なども手掛けていきたい。訪日旅行需要の拡大もあり、海外の船会社は日本市場の潜在性は高いと見ている。彼らの集客力は非常に高いので、大いに期待している。また、現在は8社から9社ほどの船会社とシステム連携を実施しているが、今後はその数を増やすとともに、コースの数も増やしていく計画だ。
同時に、顧客満足度を上げるための取り組みも進める。お客様にとってより使いやすいウェブサイトにするためにはUI(ユーザーインターフェイス)やUX(ユーザーエクスペリエンス)に改善の余地があると思っている。また、我々はOTAなので、今後はカード決済による「オンライン完結型」の販売を強化していく。一方で、まだまだシニアのお客様が多く、電話やメールでの対応も多いため、そのためのスタッフの教育や採用にも投資する。
広告宣伝に関しては、潜在的なクルーズ旅行需要を開拓するとともに、中長期的なクルーズ旅行の認知度向上に向けて展開していきたい。リピーターを増やすため、ウェブ広告に加えて新聞や旅行雑誌、DMなど紙媒体での展開も考えている。