Ctrip、新ブランドで海外展開強化-技術とサービスを訴求

  • 2018年5月15日

孫氏  来日したCtrip.com InternationalのCEOの孫潔(ジェーン・スン)氏は5月15日、本誌の単独取材に応じ「デュアル・ブランド戦略」による今後のグローバル展開について語った。同社は昨年11月に新たなブランド戦略に向け、米国のスタートアップのTrip.com社を買収。中国以外でのブランド名を「Ctrip.com」から「Trip.com」に変更している。ブランド名から中国企業であることを強く連想させる頭文字のCを外し「誰もが理解しやすく覚えやすいブランド名」に変更したことで、今後は中国以外でも認知度を高め、グローバル展開を加速する。

 具体的な数値については示さなかったものの、今後の5年から10年程度のグローバルの売上高については「継続して20%増から30%増をめざす」と説明。このうち日本市場については「アウトバウンド市場が安定している」ことから、航空券など海外旅行商品の販売などを強化して「グローバルでの伸び率を上回る成長を見込む」と語った。

「Trip.com」のロゴマーク  昨年のてるみくらぶの経営破綻により、日本市場においてOTAなどの信頼性を疑問視する向きがあることについては「我々の利益率は高く、会社の運営資金はすべて自前で賄っている」と述べ、安定性をアピール。今後の日本市場では「ユーザーが旅行を計画する時に、まず最初にTrip.comが頭に浮かぶようにしたい」と宣言し、「良い商品とサービスで、日本でもユーザーは獲得できる」と自信を見せた。

 なお、孫氏の今回の来日の主な目的は、三井住友カードとの提携により日本で発行する「Trip.comグローバルカード」の発表記者会見への出席。会見ではCtripがABC(AI、ビッグデータ、クラウドコンピューティング)に多大な投資をしていることや、年中無休で24時間対応のコールセンターに約1万5000人の人員を充てていることなどを強調し、技術力やサービスを重視するOTAであることを打ち出した。

発表会見での記念撮影。左から銀聯国際副総裁の王立新氏、Ctripの孫氏、三井住友カード代表取締役社長の久保健氏  Ctripが中国以外で提携クレジットカードを発行するのは初めてで、孫氏は今回の取り組みが日本市場でのイメージや信頼度の向上につながるとの見方を説明。ブランドは本国の中国および、日本を含むアジア諸国で通用度の高いUnionPay(銀聯カード)で、会員は6月6日から募集する。

▽14年に日本法人設立、16年にはスカイスキャナー買収

 上海に本社を置くCtripは1999年に4名の社員で創業。航空券や宿泊施設、各種の交通チケット、パッケージツアーなどを取り扱う中国最大のOTAで、同国ではオンラインでの旅行販売市場において65%以上のシェアを占める。加えて13ヶ国語対応のウェブサイトとアプリでワンストップの予約サービスを提供。提携する宿泊施設は200ヶ国の120万軒に上り、5000都市への航空券を販売する。

 2003年にはNASDAQに上場。時価総額は235億米ドル(約2.5兆円)で、現在の総従業員数は3万7400人、総会員数は3億人に上る。14年には日本法人を設立し、16年には比較検索サイトを運営するスカイスキャナーを買収するなど、近年はグローバル展開を加速。なお、日本市場での成長については自力での成長にこだわり、日本企業のM&Aなどは予定していないという。