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独立問題のカタルーニャからサプライヤー来日、予定通り商談会

  • 2017年11月20日

リビエッチオ氏  スペイン政府観光局はこのほど、カタルーニャ州観光局およびバルセロナ観光局と共同で、旅行会社向けのセミナーとワークショップを開催した。スペインではここ数ヶ月間でカタルーニャ州の独立運動が活発化し、中央政府と独立賛成派が対立。州首相が解任されて、来月には州議会選挙が実施されるなど不安定な状況が続いているが、予定通りに実施された。現地からは参加を予定していた14社・団体のサプライヤーのほとんどが参加。日本の旅行業界からの参加者も60名を超えて盛況となった。

ミロー氏  セミナーでは冒頭で、バルセロナ観光局マーケティング&プロモーション・ディレクターのガブリエラ・リビエッチオ氏が挨拶し、「カタルーニャの州都のバルセロナは、文化やグルメなどの多様性に秀でた街」とアピール。カタルーニャ州観光局アジア太平洋地区ディレクターのダビド・ミロー氏は「各サプライヤーが持ち寄った最新情報を、商品開発に活用してほしい」と呼びかけた。ともに8月にバルセロナで発生した車両突入テロ事件や、独立運動については言及せず、観光への影響が少ないことを印象づけた。

 本誌のインタビューに応えたバルセロナ観光局のリビエッチオ氏は、8月のテロ事件については「今日ではどこでも起こりうること。バルセロナも発生直後には観光にも影響が出たが、数日で収束した」と述べ、「バルセロナが一大観光都市であることに変更はない」と強調。独立を巡る一連の動きについては「あくまでも政治レベルの話であり、観光客に影響はない」と語り、観光客が危険にされられる状況にはないことをアピールした。カタルーニャでは10月の住民投票の際に警官隊と住民が衝突して負傷者が出たが、その後は治安の面では落ち着いた状態にある。

カステルトルツ氏  スペイン政府観光局日本局長を務めるバルセロナ出身のマジ・カステルトルツ氏は本誌に対し、8月のテロ事件の直後は日本でもパッケージツアーに多少のキャンセルが出たが、短期間で回復したことを説明。年内の予約動向については、独立問題の影響が垣間見えるものの「カタルーニャが平穏であることをアピールし続ければ、年明けには回復が見込めると思う」との観測を示した。そのほかには外務省が「海外安全ホームページ」で発出したスポット情報について言及し、「外務省の情報提供は的確だった。旅行者が安心してカタルーニャを訪れることができて感謝している」とも語った。

商談会の様子  スペイン政府観光局によれば、日本からスペインへの旅行者数は、2015年には前年比26.6%増の60万1000人を記録。16年も21.3%減ながら47万4000人が訪れている。今年の1月から7月までの宿泊数の累計は1.7%増の66万5116泊。なお、現時点で正確な数値は得られていないものの、テロ発生直後の9月については、前年の宿泊数を上回っているという。


▽ルフトハンザ、ドイツ経由をアピール、チューリッヒも

稲葉氏  そのほかには、ルフトハンザ・ドイツ航空(LH)とスイスインターナショナルエアラインズ(LX)の東京営業支店アカウントマネージャーを務める稲葉泰樹氏がプレゼンテーションをおこない、デイリーで運航しているLHの羽田/フランクフルト、ミュンヘン線とLXの成田/チューリッヒ線を乗り継いでバルセロナ入りするルートをアピール。曜日を問わず、東京から16時間程度でバルセロナ入りできる優位性を強調した。昨年にイベリア航空(IB)が開設した成田/マドリード線は週3便で運航中。来年10月には週5便に増便する。