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週間ランキング、1位はHIS個人情報流出-情報管理の未来像とは?

[総評] 今週は、エイチ・アイ・エス(HIS)で個人情報の流出が発生したことをお伝えした記事が1位になりました。個人情報関連では、昨年3月にジェイティービー(JTB)が攻撃を受けて情報を流出させてしまったことが記憶に新しいところで、HISは人的エラーが原因で影響は最大1万2000人程度、JTBは外部の悪意によるもので約793万人分と事情は異なるものの、個人情報を保持することのリスクをまざまざと見せつけられます。

 正直なところ、この話題に関しては「明日は我が身」としかいいようがありません。個人的にもミスをしやすいですし、外部からの悪意が自分(たち)には向けられないなどという根拠のない自信も持ち合わせていません。実際に過去にはこのウェブサイトへの不正アクセスもありましたし、いつ何が起きても不思議ではないというのが率直な感覚です。

 とはいえ、どうせミスはなくせないし悪意にはかなわないし、と諦めるべきものでもなく、できることはすべてしていかなければなりません。ちょうど6月には情報セキュリティ基本方針(リンク)を策定しており、取り組みは緒に就いたばかりですが、ここで掲げた事柄を着実に実行して皆様の信頼を損なうことのない体制を作り上げていきたいと考えています。

 ちなみに、個人情報関連では、8月22日と23日に「アソシエーション・オブ・コーポレート・トラベル・エグゼクティブズ(Association of Corporate Travel Executives、ACTE)」という団体が東京で開催したカンファレンスでも面白い話をお聞きすることができました。

 この団体は、その名の通り業務渡航に関わる企業の幹部が加盟するもので、出張者を送り出す企業側のプレゼンスが大きいのが特徴といえ、カンファレンスでも業務渡航の今後を左右する様々な要因についてユーザー目線を含めたユニークな議論が聞かれました。

 そうしたなかで印象に残った話というのは、個人情報管理の未来像です。BCDトラベルで最先端技術担当ディレクターを務めるミリアム・モスコビッチ氏が語ったもので、まず従来の個人情報は「プロファイル」と呼ばれるものであり、例えば航空会社が持つ前回購入時の座席の好みや支払手段などがそれに当たるものの、こうした汎用性のない情報はもはや時代遅れで、これからは「CIAM(Customer Identity and Access Management)」という考え方が主流になるのだそうです。

 調べてみると、まずアイデンティティ・マネジメント(IM)はある会社や組織などが保有するユーザー関連の様々な情報を一元的に「アイデンティティ」として管理できる仕組みを指し、「IAM」もほぼ同義で、各種情報へのアクセス権限の管理を含むことを明示しているようです。

 要するに、「誰がいつどのような目的でどの情報にアクセスするか」を管理するというもので、そしてどうやらこの「IAM」の先頭にCが付くと、ユーザー自らがそれらを管理するという意味を持つのだと思われます。(間違いがあればご指摘いただけますと幸いです。)

 そしてこれまでは、この「IAM/CIAM」は各企業が別々にしていたわけで、一元的といいつつ実は世の中にアイデンティティが散在していたことになりますが、モスコビッチ氏によるとこれからは、企業や業界をまたいで一つのアイデンティティが横断的に使用されていく世の中が来る可能性があるといいます。

 これは例えば、飛行機が到着した情報がホテルとハイヤー会社に流れてチェックインなどがスムーズに進む、あるいは病気や怪我など医療機関の情報がホテルや航空会社にも自動的に共有されてスペシャルアシスタンスに利用される、といったことが可能になる取り組みで、「誰にどの情報を共有するか」はユーザー自ら決めることができます。

 確かに、これが実現すれば非常に便利になると感じます。Aホテルで収集された好みのデータが別チェーンのBホテルでも利用されるようにする、といった判断をユーザーが「決められる」ことから、モスコビッチ氏はこれを「ソブリンID(主権的ID)」と表現されていました。

 もちろんプライバシーの問題などハードルはいくつもありますが、サービス自体はきっと実現するのではないでしょうか。そしてその時にはもしかすると、より高次のセキュリティが求められるかもしれません。(松本)

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