JATA、新たに「欧州の街道・道20選」、越智氏「ツアー売れる」
日本旅行業協会(JATA)「アウトバウンド促進協議会」の欧州部会は8月17日、新たな取り組みの「ヨーロッパの美しい街道・道20選」を発表した。21ヶ国の在日大使館や観光局、ツアーオペレーターなどから寄せられた73点の「美しい街道・道」のなかから、13ヶ国の20点を選定したもので、2018年度上期から会員各社が商品化する予定だ。
同日に開催した業界誌向けの定例会見で、部会長の古木康太郎氏は「消費者が欧州に行く動機づけになるようなものを選んだ」と説明。JATA事務局長の越智良典氏も「お客様が『ツアーに参加して良かった』と実感できるような素材が選ばれている。ツアー化すれば間違いなく売れる」と自信を示した。
JATAは15年に「ヨーロッパの美しい村30選」を選定。16年度上期(4月~9月)から各社が商品化しており、古木氏は「プロの写真家からも高評価を得ており、相当の(集客)効果があった」と振り返った。例えば英国のコンウィは「美しい村」に選ばれる前はほとんど日本人が訪れたことはなかったが、16年度上期から徐々に増加し、17年度上期には2380人が訪れる見込みという。
「美しい村」を含むツアーについては、16年度は17社がコースを造成。上期は457コースで1万9209人を、下期は206コースで1万807人を集客した。17年度上期は18社が前年比64コース減の393コースを造成しており、54.7%増の2万9715人を集客する見通し。コース数は減少しているが、1コースの出発日を多く設定し、集客を増やす傾向があるという。
今回の「美しい街道・道」については、日本での知名度が低い街道や道に焦点を当てて選定。パリからジベルニー、フルジュ、ルーアンなどを巡るフランスの「セーヌ絵画街道」や、プラハ、リトミシュル、オロモウツなどを巡るチェコの「ボヘミアン交易街道」など、JATAが独自に命名したものもあるという。古木氏はテロ事件による欧州旅行の需要の落ち込みが徐々に回復していることを説明した上で、「欧州にはまだまだ魅力的な地域がある」と強調。「欧州が100%復活するかどうかはわからないが、今回の取り組みでかなりの成果が挙がるだろう」と期待を語った。
古木氏は、コースによっては個人による移動が難しい場合があることを説明した上で、旅行会社のツアーを利用するメリットを消費者に訴求する考えを説明。今後は18年度を目途に、「ヨーロッパの絶景」も選定する予定で、「村」「道」「絶景」の3本柱で欧州をアピールする方針だ。
「美しい街道・道20選」については、今後は早急にJATAのウェブサイトに詳細を掲載するとともに、各社に商品化を呼びかける。9月の「ツーリズムEXPOジャパン2017」では写真展を、10月18日には駐日欧州連合代表部で各国の観光局などが参加する業界向けのワークショップを開催する。20選の詳細は下記の通り。
▽ヨーロッパの美しい街道・道20選
イタリア/虹色の道、神々の道
英国/不思議の国古城街道、イングランドの田園街道
オーストリア/リンゴ街道
オランダ/世界遺産ベームスターとお花畑の道
クロアチア/イストラ三味街道、エメラルド街道
スイス/アルプス湖畔街道、聖ヤコブの道
スペイン/カリフ王国の道、カタルニア地方の中世の街並み街道
チェコ/ボヘミアン交易街道
ドイツ/黒い森高原街道
トルコ/エーゲ海オリーブ街道
ハンガリー/バラトン・ハイランドの道
フランス/ラベンダー街道、幸せの蝉街道、セーヌ絵画街道
ベルギー/ブリューゲル街道