グアム、北朝鮮問題の風評封じを開始-局長など来日へ

  • 2017年8月15日

タモン地区の様子(7月に撮影)  北朝鮮がグアムに向けて弾道ミサイル発射を検討しているとの報道が加熱するなか、グアム政府観光局(GVB)は風評被害の封じ込めに向けた活動に取り組んでいる。8月9日には局長兼CEOのジョン・ネイサン・デナイト氏による「旅行を予定されている皆様に、グアムは安全な渡航先であることを保証する。グアムを含むマリアナ諸島において脅威はない」とのメッセージを日本語サイトに発表。現地の状況が通常通りであることをアピールした。

 あわせてグアム政府災害・緊急時対策室による「グアムでの警戒レベルに変更はない」とのプレスリリースも掲載。同室はFacebookの公式ページなどでも最新の情報を発信しており、15日午後の時点でも警戒レベルに変わりはないことを報告。米軍当局などとともに北朝鮮に対する監視を継続している旨を説明している。

 15日に本誌の電話取材に応えたGVB日本代表の山本さとみ氏は、夏の旅行需要への影響については「旅行をためらっている人も少しはいるようだが、大きな影響は出ていない」と説明。韓国などからも通常通り観光客が訪れていることを強調した。また、旅行会社や一般の旅行者からの問い合わせは1日あたり1、2件程度で「報道と旅行者との間に温度差を感じる」と語り、風評被害の拡大に懸念を示した。

 山本氏については、17日に開催される日本旅行業協会(JATA)の定例会見への出席が急遽決定。業界誌向けに最新の正確な情報を提供する。さらに、早ければ来週にはデナイト氏が来日して記者会見を開催する予定で、グアム準州副知事のレイ・テノリオ氏も同行を検討しているという。

 なお、2016年にグアムを訪れた日本人旅行者の数は、デルタ航空(DL)や大韓航空(KE)などの座席供給減などにより、前年比3.5%減の74万5691人に減少。今年の1月から7月までの累計は、9.3%減の38万533人とさらに減少している。

▽旅行会社、航空会社ともに「影響は軽微」

 本誌の取材に応じたジェイティービー(JTB)、エイチ・アイ・エス(HIS)によれば、ツアーは通常通り催行しており、予約のキャンセルに対してはキャンセル料を徴収。15日午後の時点で、問い合わせやキャンセルは少なく、修学旅行などの団体旅行についてもキャンセルはないという。

 航空会社各社も通常通り運航しており、キャンセル料を徴収。取材に応えた日本航空(JL)、デルタ航空(DL)、ティーウェイ航空(TW)のいずれも、旅行を取りやめた消費者は少なく、団体旅行の中止もないという。ただし、各社ともに現在の状態が長期化した場合には影響が出る可能性があると見ており、今後も状況を注視していく方針だ。

 なお、外務省は今回の件に関しては「スポット情報を発出する方向では動いていない」とコメント。理由として、旅行業界に対する影響が大きいことや、実際に弾道ミサイルが発射されるのか否かが明確ではないことなどを挙げた。「たびレジ」の登録者などへの情報発信については、検討を進めているという。