日本のBTMは「認知度低い」、課題はシステム活用-セーバー調査
BTMで業務渡航を効率化
旅行会社が価値を示す機会に
セーバートラベルネットワークの日本支社であるセーバージャパンはこのほど、「ビジネストラベルマネジメント(BTM)に関する海外出張者の実態調査」を発表した。同社は2013年を「BTM元年」と位置づけ、BTMの普及への注力を開始。一般企業向けのセミナーなどを開催し、企業が特定の旅行会社と契約し、規定に基づき出張の効率化などをおこなうことの重要性を強調してきた。
今回の調査はBTMがどれほど日本市場に浸透しているかについて、3月に従業員500人以上の企業の社員を対象にインターネットで聞いたもの。直近の1年間に2回以上海外出張をした30代から50代までの200名に対し、出張前の予約・手配から出張後の経費精算について、方法や今後の課題などを尋ねた。
出張手配、55%が会社指定の旅行会社に依頼
海外出張の際に航空券や宿泊施設などを手配する方法については「会社指定の旅行会社がある」と回答した人が最も多く、全体の55.5%を占めた。一方、「会社指定の旅行会社があるが、自分で自由に選んでもよい」は23.0%、「毎回自由に選択できる」は20%で、43%が社員に選択権がある結果となった。
この結果について、先ごろ開催した業界誌向けの説明会で、セーバージャパン日本支社長の中里秀夫氏は「会社指定の旅行会社を利用してBTMを実施している会社が圧倒的に少ない」と語り、BTMの認知度の低さを指摘。「特定の旅行会社と取引し、出張のデータを集約・分析した方が、航空会社やホテルなどとの値段の交渉がしやすい」とBTMのメリットを強調した。さらに、料金面に加えて、航空会社のラウンジが無料で利用できるなど、サービスが付加されるメリットについても述べ、「出張者にとっては快適さが増す。BTMはコスト削減だけが目的ではない」と話した。
同氏はBTMを実施している企業が少ない要因として、企業側の意識の低さを指摘。「企業がBTMのコンセプトを理解し、出張規定を守るよう、社員にどこまで伝えられるかが課題」と話した。また、同社グローバルアカウント・アカウントディレクターの岩壷潤子氏は、旅行会社にもBTMの概念が浸透していないとし、「出張手配だけでなく、出張データをもとに企業にコンサルティングサービスを提供することで、企業に対し旅行会社としての価値を示していくことが重要」と話した。