インタビュー:ANAセールス代表取締役社長の今西一之氏
17年度は「リゾート戦略」でハワイに注力
メキシコや中国の販売も強化
全日空(NH)は昨年9月に成田/プノンペン線、今年2月に成田/メキシコシティ線を開設したほか、19年には首都圏空港から運航するホノルル線にエアバスA380型機を導入するなど、路線網の拡充に積極的に取り組んでいる。こうした動きを踏まえ、ANAセールスは今後どのような戦略で旅行商品を造成・販売していくのか。同社取締役社長の今西一之氏に、今後の方針をうかがった。
-まずは16年度の振り返りと17年度の目標を教えてください
今西一之氏(以下敬称略) 16年度の売上高は前年比5%減の1958億円で、このうち海外は8%減の205億円、国内は4%減の1400億円、訪日は41%減の13億円だった。欧州のテロ事件や九州地震などの影響などで、海外、国内、訪日ともに減収減益となった。
今年度の目標売上高は8%増の2107億円。海外旅行は19%増の245億円、国内旅行は7%増の1502億円、訪日旅行は106%増の26億円をめざす。
-海外旅行で注力する地域を教えてください
今西 今年度はハワイの販売を強化する。NHはこれまで、首都圏からビジネス向けの路線を展開することに力を入れてきたが、16年度から20年度までの中期経営戦略では、これまで取り組めていなかったレジャー需要の獲得をめざし、「リゾート戦略」を打ち出している。その最たるものが、旅行者から人気の高いハワイ路線だ。
ホノルル線は座席数が不足がちだが、19年以降にA380型機を3機導入する。これを機に、NHが得意としてこなかったレジャー需要を掘り起こし、「生涯のANAファン」を増やしていきたい。
16年度はパッケージツアーで、前年比15%増の約2万人をハワイに送客した。今年度は3万人をめざし、全社一丸で取り組んでおり、現在のところ、対前年で70%増から80%増と順調に推移している。NHのホノルル線は、昨年の冬ダイヤから羽田線のスケジュールを変更し、ホノルルから羽田に到着後の国内線への同日乗継の利便性が向上した。また、今年の9月までに、ホノルル線全便のビジネスクラスにフルフラットシートを導入するなど取り組みを強化している。
パッケージツアーの取り組みとしては、NH便の国内線・国際線での並び席のご用意や、成田線利用時のラウンジや復路リムジンバスの特典、ビジネスクラスのお客様にはアーリーチェックインや専用車送迎をつけるなど商品力を大幅に強化している。また、離島のツアー「ハワイ島旅」を新たに商品化するなど、さまざまな取り組みをおこなっている。今後はさらに、ANAグループならではの独自性のあるツアーを造成するとともに、NHの機材やサービスなどの優位性をアピールしていきたい。
加えて、今年度はハワイのプロモーションも強化する。我々はハワイについては後発の会社で、「ビジネス客中心」「高い」というイメージも強いため、若者などは「ANAでハワイ」ということがピンとこない人もいると思う。A380型機の導入でエコノミークラスがかなり増えることになるので、今後は若者の認知度の向上をめざしたい。我々には20代や30代の社員が多いので、社員には同世代の目線でキャンペーンの内容を考えてもらいたい。