チャーター規制、関空の個札要件緩和へ、第1種へ全席卸売可に
国土交通省航空局は5月31日、日本発着のチャーター便の規制緩和に向けてパブリックコメントを開始した。政府が3月に閣議決定した「観光立国推進基本計画」で「さらなる航空自由化の推進のため、チャーター便に係る規制のあり方を見直す」と示したことを受けたもの。
2010年に発出した通達「本邦を発着する国際チャーター便の運航について」で示した要件のうち、関空発着の包括旅行チャーター(ITC)の個札販売要件を緩和するとともに、用機者が第1種旅行業者に一部座席を卸売可能とすることについても、範囲を全座席に拡大する。募集期間は6月29日までで、6月末から8月上旬までに通達を発出し、施行する予定だ。
個札販売については16年4月に、航空局が成田・羽田・関空を除く地方空港に発着するITCの条件を緩和。個札販売の条件は、対象便を運航する航空会社が出発地または到着地の国・地域(当事国)の会社の場合と、第三国の会社の場合で異なるが、当事国の場合は個札販売などに関する制約が相手国・地域との間で平等である「相互主義」の条件を満たせば航空座席を無制限に、満たさない場合は50%未満を販売できることとしている。第三国の場合は、相互主義の条件を満たせは50%未満を販売でき、満たさない場合は個札販売を認めない。
成田・羽田・関空の3空港については、当事国の航空会社は運行区間が航空自由化の対象で、相互主義の条件を満たす場合は無制限に販売可能。どちらかの条件を満たさない場合は50%未満を販売できる。第三国の航空会社はその国との間で航空自由化が実現しており、その国の以遠権の範囲内であること、その国との定期便数の範囲内であることを満たせば50%未満を販売でき、それ以外は個札販売を認めない。
今回のパブリックコメントでは関空についても、地方空港と同様の要件を満たせば個札販売が可能となるように規制を緩和。航空局によれば、航空会社が個札販売できる座席の割合を増やすことで、旅行会社が関空発着のチャーターを実施しやすくすることがねらいだ。なお、首都圏の2空港については、各国との航空協議などの兼ね合いから緩和の対象外とした。
ITCの用機者による卸売については、これまでは直接契約した第1種旅行業者に対し、チャーターした座席の一部を卸売できる旨を通達で規定。ただし、実際の運用においてはチャーターした全座席を卸売することを認めている曖昧な状態にあることから、今回は「法的安定性の観点」から全座席を卸売できるよう明確化するという。
このほか、国際旅客チャーター便を認める形態についても変更。現行ではITC、企業などが自社のために実施し費用を負担する「オウンユース・チャーター」、企業などが団体旅行で利用し参加者が費用を負担する「アフィニティー・チャーター」の3種類に制限しているが、これらの制限を撤廃する。詳細な内容については今後検討していくという。