週間ランキング、LOTポーランドが1位、香港航空2位

[総評] 今週の1位は、LOTポーランド航空(LO)の記事でした。就航1周年にあたってレセプションを開催し、増便や新しいB787-9型機の導入への意欲を示した、という内容ですが、どうやらGoogleニュースかなにかに取り上げられたようで、通常の1位のアクセスと比較して5、6倍のアクセスが集まりました。同様の事案は以前から何度もありますが、旅行業界メディアを運営する身としてはとても悩ましいところです。

 こんなことを書くのも気が引けますが、メディアというのは、テレビにせよ雑誌にせよウェブサイトにせよ、広告を収入源とする限りユーザーがその媒体で費やす「時間」が売り物となります。例えばテレビで、人気のあるタレントの起用やユニークな企画によって視聴率が上げればCMの枠が売れやすい、というのは分かりやすいと思いますが、突き詰めればそこで金を生み出しているのは視聴者の時間です。

 ウェブサイトでも、そのサイト内で過ごされる時間が長くなればなるほどバナーなどが表示されクリックされる機会が増え収入も増えるわけで、基本的にはいかに多くのアクセスを集めるかが鍵になります。その意味でGoogleやYahoo!からの集客は重要であり、「SEO(Search Engine Optimization)」、日本語ならば「検索エンジン最適化」、つまりあるキーワードに対して検索順位を上げようとする手法が重視され、結果としてDeNAのキュレーションメディアのようになりふり構わず集客するようなサイトも出てきます。

 であれば自然にたくさんのアクセスが集って悩ましいことなどないだろう、と思われがちなものの、もう一つ重要なポイントがあります。それは読者層の「質」です。質の悪い読者などと捉えられると語弊があるのですが、広告にとっては、極言すれば広告のメッセージをお伝えするべき対象の読者以外はいてもいなくてもほとんど変わりません。

 例えば小麦アレルギーのある方にパンやラーメンの広告をお見せしても効果がないばかりかつらい思いをさせてしまうかもしれませんし、またダイエット方法を特集した雑誌であれば砂糖たっぷりの炭酸飲料やハンバーガーチェーンの広告よりも有機野菜のお取り寄せですとかトレーニングジムなどの方が親和性が高いでしょう。

 その視点でいえば、トラベルビジョンは旅行業界に特化したメディアであり、掲載される広告の目的も、基本的には観光局や航空会社、ホテルなどが送客、販売してほしいと望まれる内容となります。あるいは、大変良くご利用いただくのが求人広告ですが、こちらも旅行業界で働かれる方々をターゲットとした経験者採用が目的です。

 ですから、業界外の方に読んでいただいてもあまり意味がなく、もっといえば我々としては一般の方が増えるとメディアとしての価値が薄まってしまうと感じます。旅行(業)に興味のある方が集まるウェブサイトはいくらでもあり、同じ土俵に上れば埋没してしまうわけで、だからこそ旅行業界で働く皆様がおもしろい、役に立つと考えていただける媒体づくりに注力していく所存です。

 なお、ここまでLOの順位にケチをつけるような論調になってしまいましたが、経験的には外部サイトの助けがなくとも1位になって不思議ではない記事です。ヴァージン・アトランティック航空(VS)やオーストリア航空(OS)の撤退、ルフトハンザ・ドイツ航空(LH)の成田線運休など欧州方面のアクセスが細るなかで、LOやイベリア航空(IB)には是非とも座席を維持し、増やしていってほしいと願っています。

 2位も香港航空(HX)の関空線増便計画で、イン/アウトいずれの国際交流も航空路線に大きく依存する日本にとってまた一つありがたいニュースです。

 以遠路線へ乗り継ぎやすいスケジュールとのことですが、聞いたところによると、香港は関空から海外へ出発する旅客が経由する空港としては利用率が最も高くなっているそうです。利用者としては直行便が楽ではありますが、あらゆる都市に路線が繋がるはずもなく、空港の容量も考えれば経由便の重要性はこれからも変わらないでしょう。

 トラベルビジョンとしても今後は業界メディアとしてさらなる充実をめざし、例えば出発空港ごとの人気経由地とその先の最終到着空港など、これまでにない深掘りしたコンテンツを増強し、皆様によりご愛顧いただけるようにしていきたいと考えています。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2017年02月06日0時~02月10日18時)
第1位
LOTポーランド、さらなる増便に意欲-B787-9導入も(17/02/08)

第2位
香港航空、関空線増便で週19便に、日本人獲得へ(17/02/08)

第3位
旅行予約サイト、満足度1位はジャルパック-オリコン調査(17/02/06)

第4位
JTB、シンガポール政観とMOU、17年度送客11万人めざす(17/02/07)

第5位
LCC満足度、国際線はエアプサン、国内は春秋日本-オリコン(17/02/06)

第6位
トップインタビュー:楽天ライフ&レジャーカンパニートラベル事業長の高野氏(17/02/09)

第7位
ルフトハンザ、A350の羽田線導入を検討-成田の再開は未定(17/02/07)

第8位
Booking.com、「持続可能な観光」に助成金、最大7000万円(17/02/07)

第9位
G2トラベル、北米・オセアニアも開始、まずは1万名めざす(17/02/09)

第10位
ジェットスターJ、出張者獲得に向け「フレックスBiz」開始(17/02/08)