新卒採用セミナー、辞めない学生を採るコツを紹介-JATA

  • 2017年2月2日

セミナーの様子  日本旅行業協会(JATA)と株式会社ジャタはこのほど、都内で旅行会社の人事や総務などの担当者を対象として「2018年新卒採用対策セミナー:『効果的な採用活動のコツ~辞めない学生をとる~』」を開催した。冒頭で挨拶したJATA事務局長の越智良典氏によると、今回のセミナーは「今の学生たちの考えを知ってもらい、採用の手助けにしてほしい」ことが目的。「『最近は勝手に人が応募してくる』という時代ではない。若くて良い人を採用するためには、サポート体制を整え、採用時にしっかりマッチングすることが大切」と強調した。

▽ゆとり世代の性格は「素直」で「無難」

 セミナーでは、東洋大学国際地域学部国際観光学科長・教授の島川崇氏が最近の学生の傾向などを紹介した。最近の学生の性格について、島川氏は「東日本大震災が大きく影響している」と説明。具体的には、同氏は復興支援のための観光も研究しているが、その一環で実施した被災地観光客へのアンケートにおいて、被災地観光の理由を問うと、60代は「自分の目で確かめたかった」などの自分を主体とした意見が多かった一方、20代は「同じ日本人として何かしたかった」などの回答が多かったという。

 そのことから、同氏は「多感な中学や高校時代に津波を目の前にした人間は、お金ではなく、絆の方が大事と思っている」との見解を示し、「我々世代の方が、よっぽどひねくれている。今の子達は素直」と話した。

 また、インターネットの普及も、人格形成に大きく影響していると説明。現在はブログやソーシャルメディアが一般的に使用されているため、現在の若者は「文章を発信することが上手」という。しかし、「情報収集はウィキペディアなどのインターネット。本はほとんど読まない」ことから、「文章が上手で一見正論を言っているようだが、深い議論はあまりできない」との意見を述べた。

 また、ソーシャルメディアなどで感想を共有することが一般的になったことから、「例えば買い物をして、不満があればそれを投稿する。その投稿を読んだ別の人はその買い物は辞めておこう、となる」ことを説明。そのため、「炎上したくない」などの思いから、何事も穏便に済ませようとする傾向があるという。

 このほか、近年は日本の風潮としてコンプライアンスが重視されていることにより、「教育現場は萎縮している。ちょっとした一言で揚げ足を取られる」とコメント。そのため、教師が学生を叱る機会はほとんどなく、教師の威厳が欠如しているという。

 しかし、同氏のゼミでは「観光業に携わる以上、遅刻を絶対許さない」との方針を設け、遅刻した場合は電車遅延が理由でも、授業中に学生を教室の後ろで立たせるというルールを設定。同氏によると、当初は「電車遅延なのだから、どうしようもない」と反抗されたものの、「『添乗員をする人間が、電車が遅延したからとお客様を待たせて良いのか?』と説明したら、きちんと理解してくれた」ことから、「叱る際は頭ごなしに叱ってはだめ。明確な理由を説明すれば、素直なので理解してくれる」と説明した。

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