キーパーソン:島根県邑南町観光振興係長の寺本氏
地域活性の最前線、独自性武器にインバウンドも
島根県邑智郡邑南町(おおなんちょう)という町をご存じだろうか。東西に長い同県のなかほどに位置する、平成の大合併で誕生した中山間地の町だ。2016年7月1日現在で人口約1万1000人、高齢者比率42.6%という状況だが、実は地域活性化の施策が注目を集めており、全国から町議会議員だけで年間1000人もの視察を受け入れている。観光面でも新たに独自のアプローチでインバウンド誘致に着手しようとする取り組みを、町役場商工観光課で観光振興係長を務める寺本英仁氏に聞いた。
-邑南町の特徴を教えてください
邑南町町役場商工観光課観光振興係長の寺本英仁氏(以下敬称略) 2004年10月に旧羽須美村、旧瑞穂町、旧石見町が合併した町で、現在3期目の石橋良治町長のもとで「日本一の子育て村」と「A級グルメのまち」を核として定住促進に取り組んでおり、これらは優良事例として総務大臣から表彰されている。
日本一の子育て村では、経済的負担や就労など様々な面で子育てを支援している。また、「A級グルメのまち」は食と農に焦点を当てたもので、例えば年間200頭しか育てられない「石見和牛」など地元の素晴らしい食材を「A級グルメ」として打ち出すもの。そうした食材を使って料理を振る舞う町営レストランも作るなど、6次産業化にも進めている。
-観光の現状はいかがでしょうか
寺本 2010年度から2015年度までの計画期間で日帰りを含めた年間観光入込客数100万人の達成をめざし、最終的には約92万人で着地した。着手した当初は70万人規模であったところから大きく伸びており、町営の宿泊施設も稼働率が8割に達している。人口が約1万人の町としてはこの状況を維持していくことを重視したい。
150万人、200万人ということになるとキャパシティの問題が出てきて、整備にはお金もかかる。これからは90万人から100万人をキープしていくために、飽きられない展開を考えていく。