ラタム航空、日本での活動を本格化、収益増めざす

  • 2016年8月15日

アリアス氏。新たなデザインのモデルプレーンと  ラタム航空グループの日本地区支社長に就任したハビエル・アリアス氏はこのほど本誌の取材に応え、日本での収益増に向けて活動を本格化する考えを示した。同グループは2012年にチリのラン航空(LA)とブラジルのタム航空(JJ)が合併して生まれた南米最大級の航空グループ。今年5月にはグループの新たなブランドとして「ラタム航空」を打ち出し、ロゴや機体などのデザインを一新するとともに、空位となっていた日本地区支社長のポストにアリアス氏を任命している。

 アリアス氏は日本に常駐して支社長を務めるとともに「アジア地区営業統括本部長」としてアジア全域の営業活動を率いる。兼任はアジアでの売上高の半分を日本が占めていることを踏まえたもので「日本市場は(地理的に近く定期便もある)ニュージーランドなどよりも大きい」ことなどから、今後の収益増に向けた期待は大きいという。アリアス氏は「アジアでの活動はより日本にフォーカスする」と語るとともに、将来的にアジア路線の開設が実現した際には、最初の就航地となる可能性が高いことを示唆した。

 現在の日本市場では、旅行会社によるパッケージツアーなどのレジャー需要や、日系人のVFR(友人や親族の訪問)需要などが多いが、今後はOTAとも協力してFITの取り込みにも注力する考え。アリアス氏は、6月には新たなブランドの発表を記念し、初めてFIT向けの割引運賃キャンペーンを実施したことをアピールし、「新しい取り組みにはどんどんチャレンジしていきたい」と意欲を示した。

新たなデザインによる機材  今後の日本市場における目標としては、引き続き認知度の向上に取り組み、南米旅行商品で中継地以遠に利用される航空会社としてトップシェアをめざす。「重要なパートナー」と位置付ける旅行会社には、スカイトラックスにおける評価の高さ、新しい機材や機内サービスなどを訴求。また、一般消費者向けにも、7月に東京の代々木公園で開催された「ブラジルフェスティバル2016」に協賛してブースを出展するなど、アピールを強化しているという。リオデジャネイロで開催中のオリンピック大会については「成功すれば(南米の)良い露出になる」と期待を示した。

 同じワンワールドの加盟会社でコードシェアを実施している日本航空(JL)については、今後も協力関係を強化する考えを示し、「新たなルートの開発時などには随時可能性を探っていきたい」と述べた。日本からラタム航空便で南米入りする場合の主な手段としては、JLの成田/ロサンゼルス線を利用してからラタム航空便に乗り継ぐルートが挙げられるが、当面はこのような「日本からのゲートウェイと南米を結ぶ路線」を拡充して利便性を高める考え。10月からは、LAがリマ経由で週14便を運航しているロサンゼルス/サンティアゴ線に、ノンストップ便を週3便追加する。

 今後のプロモーション方針については「マチュピチュやウユニ塩湖だけではない、南米のさまざまなデスティネーションを紹介する」と強調。今年12月から翌年2月にかけては、チリの首都のサンティアゴからパタゴニア観光の拠点となるプエルト・ナタレスへの定期便を運航することなどを説明し、日本人観光客向けの路線として打ち出したい考えを示した。その他にはチリ北部のアタカマ砂漠や、太平洋のイースター島などのアピールにも意欲を見せた。

 なお、LAとJJは今後もそれぞれの便名で運航を続けながら、約3年をかけて新たなブランドを浸透させ、一体感をアピールする考え。その後は便名の統一などさらなる一体化に向けた動きが予想されるが、アリアス氏によればLAとJJのオペレーションの違いや、使用するGDSの違いなどから、将来の見通しについては「現時点でははっきりしていない」という。