「真の女性活躍」で業界を発展-JATA経営フォーラム

JATA経営フォーラムの分科会「女性の活躍で企業は強くなる!」の様子 女性が職場で十分に能力を発揮し、活躍できる環境を構築することを目的として、2015年8月に「女性活躍推進法」が制定された。現在はさまざまな分野で女性が活躍しているが、女性の活躍によって旅行業界は今後、どのように変化していくのか。このほど日本旅行業協会(JATA)の「JATA経営フォーラム」で開催された分科会「女性の活躍で企業は強くなる!」では、現場で活躍する女性たちがさまざまな意見交換をおこなった。


「女性の活躍なしに発展なし」
シフト制導入などで環境改善

JTB首都圏総務人事チームダイバーシティ推進課長の柴田裕嘉氏  分科会ではまず、女性の活躍に向けた取り組みの先進事例として、JTB首都圏総務人事チームダイバーシティ推進課長の柴田裕嘉氏が同社の現状と取り組みを紹介した。同社はジェイティービー(JTB)グループにおいて1都3県のカウンター業務などを担っているが、社員の男女比率は女性が8割、男性が2割と女性が大半を占めている。そのことからも柴田氏は「女性の活躍なくして発展はありえない」と強調した。

 同社ではダイバーシティの推進に向けた取り組みとして「多様な人財の活躍」「ワークライフバランス」「女性の活躍」「育児と仕事の両立支援」の4項目に注力しているところ。柴田氏は、変化の激しい時代のなかで企業が発展し、成長してくためには「社員自身が成長を実感する仕事環境が必要」と説明した。

 具体的に「多様な人財の活躍」では、単年度契約の契約社員を正社員に登用する制度を採用。また、通常は60歳または62歳としている定年を、65歳まで引き上げる「エルダー社員制度」も導入した。さまざまな働き方を選択できるようにすることで、多くの社員が活躍できるように努めているという。

 「ワークライフバランス」については労働時間の適正化に向け、年間の勤務時間をもとに1日4時間から10時間までの15分刻みのシフト制を導入した。同社では1人あたりの1日の就業時間を7.5時間と定めているが、多くの店舗が10時から20時まで営業しており、7.5時間の固定シフトだけでは融通が効かないため、残業も多かったという。しかしシフト制の導入により、13年度から14年度にかけての1人あたりの年間労働時間は20時間から30時間程減少した。

 このほかワークライフバランスの改善に向けては、10店舗から20店舗を1エリアとし、エリア内の全店で勤務を可能とする「エリア社員」制度も創設。通常の社員は1店舗のみに配属となるが、同制度を取り入れたことで「子供の病気などで、急遽休みが必要になった社員のいる店舗へのサポートなどが迅速におこなえる」と説明した。

 「女性の活躍」に向けては、役員など主要ポストへの女性の登用、若手社員の管理職への任命、1年間の海外研修への派遣などを実施。「育児と仕事の両立支援」としては、復職する際の不安を取り除くため、育児休職者に対してeラーニングなどを使用した研修や、最新の売れ筋動向などを説明するセミナーなどを開催している。柴田氏は「社員と職場が協同することで、全社員が活躍して変化に対応できる組織になる」と話した。

※訂正案内(編集部 2016年4月5日16時45分)
・訂正箇所:3ページ1段落2文目
4月1日付けの人事異動により、斉藤氏の新たな役職を追記しました。