入社式トップ訓示、各社が「挑戦を」-五輪以降見据え
旅行関係企業各社は4月1日、2016年度の入社式を開催した。各社の社長訓示では、訪日旅行者数が増加し、政府が20年の目標を4000万人に上方修正するなか、東京オリンピック・パラリンピック開催とその後を見据えた取り組みに向け、積極的な挑戦を求めるものが目立った。また、テロ事件の発生などが続いていることを受けて、安全の重要性に関する言及もあった。各社の訓示の要旨を紹介する。(訓示を発表した会社のみ。50音順)
▽旅行会社
エイチ・アイ・エス:867名入社
代表取締役社長 平林朗氏
入社式の日は毎年、皆さんの「頑張ろう」という強い気持ちが感じられ、私自身も1年間のなかで最も身が引き締まる。皆さんの成長により会社は大きく発展する。皆さんに継続的に成長し続けていただくため、会社を発展させていくことが我々の使命と感じている。
昨年は予測として2つのことを話した。1つは日本発の海外旅行者数よりも訪日旅行者数が上回る年になること。もう1つは、ウェブサイトへのアクセスがパソコンからよりも、モバイル端末からの方が増加するということだ。これらは、いずれも現実になっている。
訪日旅行者数はなお伸び続け、アジア全土で本格的な人的交流が始まっている。これは経済圏がアジアで大きく拡大している証明といえる。また、スマートフォンも進化していることから、民泊やライドシェアなどCtoCの新しいビジネスが生まれてきている。皆さんはその真っただなかに入社したことになる。
HISグループは今、40期を迎える2020年に向けて、あらゆる変化を試みている。さらに10年後には、世界は大きな変化を遂げているだろう。その実現には皆さんのような、若く新しい力が原動力になる。グループ会社のハウステンボスでもロボット開発や農業、エネルギーなどさまざまな挑戦が始まっている。皆さんには自分の目標をしっかりと持ち、未来へ向かって新しい仕事の原動力になることを今日のこの日に誓って、新しいHISを一緒に築いてもらいたい。
近畿日本ツーリスト(KNT):110名入社(KNT、近畿日本ツーリスト個人旅行、クラブツーリズム3社計:259名)
代表取締役社長 田ヶ原聡氏
2020年に東京五輪が開催される。当社では成長の柱の1つとしてスポーツ事業に注力しており、今年のリオデジャネイロ五輪でもさまざまなサポートをおこなう。20年に向けて、業界随一のポジションを確立していきたい。
15年は45年ぶりに訪日旅行者数が海外旅行者数を上回った。政府が20年の訪日旅行者数の目標を4000万人に引き上げたことで、今後もこの傾向は続くだろう。訪日旅行者のニーズの多様化も進み、従来の「観光型」から「体験型」の旅行に変化している。その次に何が来るかを想像して、スピード感を持って行動できる者がチャンスを掴む。皆さんも柔軟な発想で、新しいことに挑戦し、それぞれの持ち場でグローバルな事業に積極的に取り組んでほしい。今年は10名の外国籍の新入社員を迎えた。日本でビジネスを学び、将来は海外で現地法人を任せられる人が出てきて欲しい。
14年には、20年以降の会社の未来について立案する「未来創造室」を設置した。我々が培ってきたノウハウやリソースを活かし、日本や各地域が抱える課題を解決して、さらに成長戦略施策にも貢献して、お客様や社会から必要とされる企業となることをめざしている。すでに「スマートツーリズム」「農業ビジネス」など業界初の新規事業をおこない、注目を集めている。社員から新規事業のアイデアを募る「KNT-LABO」もあるので、ぜひ積極的に応募して欲しい。
成長分野に積極的に取り組む一方で、教育旅行やMICEなどの中核事業については、取り組むべきことをより明確にし、限られた時間を効率的に使い、生産性を向上させていく。
旅行商品は既製品を売ることとは異なる。商品を購入してもらうためには、常に新しいものを生み出す想像力と、魅力ある個性でお客様の心を動かさなければならない。好奇心や興味を持ち、日々自己研鑚に努めて欲しい。また、先輩たちは目標に対して高いエネルギーと想像力を発揮し、お客様の目的を叶えるため、最後までやりぬく強い意志やホスピタリティを持っている。目標となる先輩に近づけるように知識を蓄積し、さまざまな経験を通して成長を遂げることを期待している。
JTB首都圏:108名入社(JTBグループ:730名)
代表取締役社長 池田浩氏
2016年度は新中期事業運営計画「挑戦2016-2018」のスタートの年だ。全社員がお客様の心に響くサービスの提供と新たな価値の創造に挑戦し、選ばれ続ける「旅の感動スタイリスト」になることをめざしており、そのなかで我々は、日本最大の市場である首都圏で安定的・継続的な成長の確立を目標としている。グループにおける最大人員の事業会社として、皆さんの今後の躍動に期待する。
入社する皆さんには、3つのメッセージを贈る。1つ目は「感謝の気持ちを忘れずに!」。わざわざ店舗にお越しいただくお客様に対し、感謝の気持ちを忘れずに対応してほしい。2つ目は「業務知識とCSが重要」で、お客様に恥じないよう、業務知識を一生懸命勉強するとともに、明るい笑顔と挨拶を徹底・継続していく。3つ目は「アドバイスは素直に受けること」。皆さんの成長のために、先輩がさまざまなアドバイスをおこなうので、素直に受けとめて成長の糧にしてほしい。
店頭はJTBの顔であることを理解し、お客様に喜んでいただける店舗と会社をともに創りあげていこう。
次ページ>>>東武トップツアーズ、日本旅行、阪急交通社