JTB、ふるさと納税でポータルサイトと提携、旅行で地方創生

  • 2016年3月27日

(左から)トラストバンクの須永氏、JTBの久保田氏  ジェイティービー(JTB)は3月25日、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営するトラストバンクと、ふるさと納税に関する業務提携をおこなうと発表した。納税の返礼品としての旅行商品の開発や、地方自治体に対する寄附金の活用法の提案などを共同でおこなうことで、地方創生への貢献をめざす。

 JTBでは、人や物の交流を促進して地域経済の活性化をはかる「地域交流事業」の一環として、ふるさと納税ポータルサイト「ふるぽ」を運営している。同社によれば、2015年度の市場規模は約1500億円の見込みで、現時点で「ふるぽ」と「ふるさとチョイス」とあわせた寄附金の取扱規模は、約1200億円。16年度の市場規模は約3500億円となる見込みだが、2社で3000億円の取り扱いをめざす。

 同日に開催した記者会見でJTB常務取締役の久保田穣氏は、ふるさと納税の返礼品の経済波及効果を両社のデータをもとに説明。農林水産品が約1.5倍であるのに対し、旅行商品は約7倍となる旨を説明し、「経済波及効果の高い旅行商品を返礼品として普及させることは、地域の利益につながる」と強調した。

 現在、返礼品における旅行商品の比率は「ふるさとチョイス」で1%、「ふるぽ」で6.2%程度。今後は地域住民との交流などを組み込んだ独自のツアーや、地域限定の旅行クーポン券など旅行商品のラインナップを強化し、比率を2割から3割程度に高めていきたい考えだ。JTBは80万人の会員を持つ「ふるさとチョイス」を活用して旅行商品をアピールするとともに、トラストバンクの持つ地方自治体への幅広いネットワークを活用して営業をおこなう。

 トラストバンク代表取締役社長の須永珠代氏は、現在のふるさと納税市場の動向を説明。15年度の寄附金のうち、95%以上がインターネット経由での申し込みだという。同氏は「寄附金額は伸びているが、全国民における普及率は6%から10%程度で、10人に1人しか利用していない」と語り、制度や申込方法などの認知度向上の必要性を説いた。今回の提携では、JTBの店舗でふるさと納税をアピールし、納税を受け付けることも検討しているという。

 このほか、地方自治体に対しては、寄附金の効果的な活用方法として観光資源の掘り起こしや地域産品の開発、交流イベントの実施などを両社で提案。加えて、2社間で相互に自治体などの顧客を紹介し、ウェブサイトの連携により、シナジーを生み出す。ウェブサイトについては、利用者が1つのアカウントで各サービスを利用できるよう、システムの連携などを順次おこなっていく。