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KNT個人、16年は売上5%増目標に-海外はクラツー企画商品に期待

  • 2016年3月8日

KNT個人の守本氏(左)と神谷氏  近畿日本ツーリスト個人旅行(KNT個人)で首都圏営業本部部長を務める神谷新平氏(海外担当)と守本英雄氏(国内担当)の両氏はこのほど、同社の2016年上期商品の発表にあわせて本誌の取材に応え、16年は海外旅行・国内旅行ともに売上高を前年比5%増に引き上げる考えをした。昨年は利益率の改善などに注力した分、ともに売上高は減少したため、今年は売上高の回復に注力する。なお、同社は14年に近畿日本ツーリスト個人旅行販売を吸収合併し、商品造成と販売の機能を一体化してからは、期首商品に加えて期中商品の造成にも注力する考えから商品発表会を休止している。

 神谷氏によれば、15年の海外旅行の販売額は前年比1割減となる見込み。しかし減少の要因は不採算商品の数を絞った結果で、利益面は一昨年に続き改善し、ホリデイについては赤字から黒字への転換も果たしたという。16年の販売額と販売人員の目標はともに15年比5%増で「前年の減少をそっくり元に戻すことは考えていない」ものの、今年は商品数を1割程度伸ばして売上高の増加に努める。

首都圏営業本部部長(海外担当)の神谷氏  16年は「ホールセールの顔」と考えるハワイやミクロネシア方面などのリーズナブルな価格帯の商品で基盤を固め、アジアや北米などについては昨年と同様に、付加価値の高い提案型商品に注力する。ハワイでは、今年で37回目となるKNTグループのイベント「まつりインハワイ」を活かしたウェディング企画商品「5万人に祝福してもらう ハワイウェディング」など、独自性の高い商品を訴求する。

 そのほか、アジアは女性を中心に「素敵な大人旅」など、北米はシニアなどに向け、サポート体制を強化したカナダ旅行商品などを提案する。基本的な姿勢としては、商品タームを短く設定して市場の動きに対応する考え。燃油サーチャージの変動についても「下がった分については値付けに細かく反映していく」という。

 昨年11月のパリでの同時多発テロ事件などにより需要が低迷しているヨーロッパ方面と、南米やアフリカなどの「SITエリア」については、4月以降のホリデイの商品造成をクラブツーリズム(クラツー)に移管する。代表取締役社長の岡本邦夫氏によれば、「添乗員つきツアーはクラツーの商品と共同催行し、ツーアップの商品はクラツーで企画し造成。KNT個人は販売に徹する」とのことで、催行率の向上に努めて利益を確保するという。ホリデイからクラブツーリズムへのツアー造成の移管は初めての試みで、神谷氏は「細かなニーズに応えて商品を増やしていくので、期待していただきたい」と意欲を示す。

 今後は2社でホリデイとクラツーの両方の客層に適合する商品の開発について検討を進め、数点から販売を開始。KNT-CTホールディングス(KNT-CT)広報担当によれば、今後については「ホリデイのハネムーナーとクラツーのシニア層が同じツアーに乗り合わせるようなケースも当然考えられるし、クラツーでハネムーナー向けの商品を造成する可能性もありうる」といい、試行錯誤しながら商品を開発していくことになるが、前向きに催行を重ねてノウハウを蓄積する考えだ。また、クラツーの経験豊富な添乗員が同行することで、ホリデイでもさらなる安心と安全に向けた取り組みが期待できるという。

 仕入環境が厳しさを増すなか、KNT-CTは海外旅行についてグループ全体で仕入れの一元化を進める考え。神谷氏は早期の需要の取り込みについては、16年度上期からジェイティービーワールドバケーションズ(JTBWV)が旅行代金変動型商品を新設したことについて「各社が影響されて、市場が大きく動くとは思う」と述べた一方、「我々も早めに市場に提供していく考えは変わらないが、ニーズの高まる時期は旅行会社が決めるわけではない」とコメント。「直近の需要に対して手薄になるようではいけないので、早期と『適正な時期』の両方のタイミングを見ていく」と慎重な姿勢を見せた。

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