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日本旅行、15年通期は減収減益-単体は販売高微増、16年は増収へ

  • 2016年2月29日

 日本旅行の2015年12月期(2015年1月1日~12月31日)の連結業績で、営業収益(※純額)は前年比2.6%減の528億7700万円だった。営業利益は14.2%減の13億7400万円、経常利益は8.5%減の22億8700万円、当期純利益は28.9%減の10億3100万円。同社広報室によると、昨年1月にパリで起きた新聞社襲撃事件や円安の継続などにより、ヨーロッパを中心に海外旅行の販売が減少したことなどが影響し、減収減益となった。また、中期経営計画「ACTIVE 2016」の達成に向けた人材の採用強化や、人材育成のための教育費用の増加なども響いたという。

 日本旅行単体では、販売高(※総額)は0.04%増の4170億2600万円と微増した。営業収益は2.0%減の452億8700万円、営業利益は33.1%減の4億2400万円、経常利益は35.9%減の10億9900万円、当期純利益は70.0%減の3億2400万円となった。

 広報室によると、中期経営計画の5つの中核分野の販売高については、全分野で前年を上回った。教育旅行は4.7%増、MICEは13.4%増、BTMは8.9%増、インバウンドは36.5%増、インターネット販売は15.1%増。同社では5分野を機軸としたビジネスモデルの転換や業務運営の効率化により、一定の利益を確保することができたとの考えだ。

 海外旅行の販売高は13.9%減の1235億7300万円、営業収益は24.6%減の109億6200万円。パリのテロ事件の影響で、同社の大きな割合を占めるヨーロッパ方面が落ち込んだことが響いた。企画旅行商品では、重点顧客層と位置づける熟年層・シニア層と女性の取扱拡大をめざし、ウェブ専用商品を含む商品の拡充、販売部門との連携強化をはかったが、販売高は28.2%減の443億2300万円に。団体旅行も、教育旅行やMICEなどの取り組みを強化したものの3.6%減の239億5900万円となった。国際航空券などの単品販売は2.9%減の552億9000万円。

 国内旅行の販売高は4.9%増の2643億7500万円、営業収益は5.7%増の295億2300万円だった。企画商品は8.2%増の1056億4500万円で、赤い風船は9%増となり3年連続で過去最高を記録。デスティネーションキャンペーン連動商品などJRセットプランの販売強化と、インターネット専用商品を拡充した。団体旅行は中核5分野へのビジネスモデルの転換を推進。各エリアや支店の強化分野を明確にし、ターゲット拡大の取り組みを強化したことで、9.3%増の691億8200万円と増加した。JR券や国内航空券などの単品販売は、インターネット経由の直販化が進むなかで取り扱いが減少し、1.8%減の895億4700万円となった。

 国際旅行は販売高が37.1%増の289億3900万円、営業収益は35.2%増の38億5400万円。アジア経済の発展や円安などを追い風に、中央省庁や地方自治体などのビジット・ジャパン事業への取り組みを強化した。さらに、OTAを含む海外の旅行会社との連携や、FIT商品の拡充に取り組んだ。

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