JATA、欧州の需要回復に注力、各種施策展開-パリに視察団

  • 2015年12月17日

「ツーリズムEXPOジャパン」のチームヨーロッパのブース。「美しい村30選」の写真展やセミナーを開催した  日本旅行業協会(JATA)は、テロ事件の発生で落ち込んだ欧州旅行の需要回復に向けた取り組みを強化する。会員旅行会社や欧州の政府観光局、ツアーオペレーター、航空・鉄道会社、ホテルなどと展開する「Team EUROPE(チームヨーロッパ)」で実施するもの。観光局によるメッセージの配信や現地への視察団の派遣、旅行会社や一般消費者向けの説明会を順次開催する予定だ。

 12月17日の定例会見で、JATA事務局長の越智良典氏は、これまでに発生して海外旅行に影響を与えた事件や事故などを振り返り「需要はおよそ半年で回復する」と説明。その上で「1ヶ月でも2ヶ月でも早く(旅行者数を)戻し、デスティネーションと信頼関係を作ることが重要。こういう時こそ旅行会社の腕の見せ所では」と訴えた。

 JATA海外旅行推進部調査役の保坂明彦氏は、フランスなどへのパッケージツアーに加え、修学旅行をはじめとした団体も減少傾向にある旨を説明。「正確な情報を発信し、少しでも欧州全体に消費者の目が向くようにしていきたい」と意欲を示した。

 チーム・ヨーロッパでは、欧州各国の観光局から、現地の最新情報や治安対策、旅行者保護に関するメッセージを集約。JATAの公式ウェブサイトの業界向けページに順次掲載していく予定で、まずは第1弾として、12月14日にオランダ政府観光局日本地区局長の中川晴恵氏からのメッセージを掲載した。今後は年内をめどに、10数ヶ国からのメッセージを掲載していく。

 さらに、16年1月15日から20日にかけて、フランスに使節団を派遣する。JAT副会長の菊間潤吾氏が団長を務めるもので、JATAの役員や旅行会社のトップなどが参加する。視察ツアーでは、パリでテロ対策責任者などの行政関係者、観光局をはじめとした観光関係者、エールフランス航空(AF)経営陣との会合をおこなうとともに、両国のメディア向けの記者会見を実施。観光客保護に対する取り組みなどをメディアにアピールし、日本人訪問者の早期来仏の促進をはかる。このほか、チームヨーロッパの「ヨーロッパの美しい村30選」に選ばれた、ミディ・ピレネー地方のサン・シル・ラポピーとアルザス地方のリクヴィルを訪問。ベルギーのブリュッセルも訪れる。

 2月や3月には、在日フランス大使館または大使公邸で、チームヨーロッパに参画している旅行会社16社共同での消費者向けの旅行説明会を開催する予定。各社がブースを設けるワークショップ形式で、消費者に各社の商品をアピールするとともに、個別の旅行相談に対応する。集客は16社がそれぞれ所有している顧客のメーリングリストを活用しておこない、200名の参加をめざす。

 このほか、2月上旬には「パリの現状(仮称)」をテーマにした、現地の最新情報を提供するBtoBセミナーもおこなう。講師としてパリ在住の日本人を招聘する予定だ。