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タイ、20年日本人200万人に向けMOU、JNTOやJETROと協業

  • 2015年11月29日

TATとJATAの調印式。左から、タイのソムキッド・ジャトゥシーピタック副首相、コープカーン・ワッタナワラーンクーン観光・スポーツ大臣、TAT総裁のスパーソン氏、JATA会長の田川博己氏、理事長の中村達郎氏、事務局長の越智良典氏  タイ国政府観光庁(TAT)は11月27日、日本旅行業協会(JATA)、日本貿易振興機構(JETRO)、テレビ朝日とそれぞれMOUを締結した。日タイ間の双方向の観光交流の強化・促進のため、各機関と連携および協力するためのもの。TAT総裁のユッタサック・スパーソン氏は「JATAとのMOUにより、2020年までに日本人渡航者数200万人をめざしたい」と語った。

 TATによれば、14年のタイへの日本人渡航者数は前年比16.5%減の126万5307万人。今年の1月から9月までの累計は104万3961人で、すべての月で14年を上回った。スパソーン氏は、「15年は130万人を達成する見通し」とした上で、「20年までに毎年10%の成長をめざす」考えを示した。なお、8月にバンコクで起きた爆発事件の影響については、「渡航者の減り方は思ったより穏やかで、すぐに回復した。来年も十分予約が入っている」と話した。

 TAT総裁のユッタサック・スパーソン氏 さらに、同氏はタイ国内の日本人の消費額についても言及。現在1日あたり約5000バーツのところを、20年までに欧州からの渡航者と同レベルの7000バーツから8000バーツに増やしたい考えだ。

 JATAとのMOUでは相互の情報交換やJATA会員旅行会社との連携による、タイへの旅行商品の販売促進をめざす。旅行会社のカウンタースタッフ向けに、セミナーやワークショップ、研修旅行などでタイに関する情報を提供。TAT副総裁のスリスダ・ワナピニョサック氏によると、オンライントレーニングも新設する計画で、早ければ来年の初めに提供を開始する。また、JATA会員会社のパッケージツアーなどの販促に協力し、ピーアールの協力や販促費用の一部補助などをおこなう。

TAT副総裁のスリスダ・ワナピニョサック氏  さらに、タイへのリピーター、ファーストタイマーの取り込みをはかり、JATAと協力してピーアールを展開していく。現在のリピーターとファーストタイマーの比率は8対2だが、20年までに7対3にしたい考え。リピーターにはまだ知られていない新しいデスティネーションをアピールしていく方針だ。例えばチェンマイから車で南に1時間のランパーンなど、日本で認知されている観光地周辺を中心に12地域を訴求し、観光客の地方への分散をめざす。

 ファーストタイマー向けには、今まではあまり訴求してこなかった、日本の各地方でのピーアールを強化。加えて「マラソンランナー」と「学生」の2つのテーマで誘客もはかる。

ゴルフに関する観光大使に任命されたの森静雄氏(左)と、食に関する観光大使に任命された小島由夫氏(右)
  また、スパーソン氏は「食」「スポーツ」「健康・美容」の3つのテーマで観光促進をはかる考えを示した。会見ではゴルフと食をテーマにした観光大使を任命し、表彰状を授与。ゴルフでは元プロゴルフ協会会長でプロゴルファーの森静雄氏、食はタイ料理店を展開するコカレストランジャパン代表取締役社長の小島由夫氏を任命した。スパソーン氏は「タイの強みはゴルフとおいしい食事であり、これらのテーマを強調して観光客を獲得するとともに、他国と差別化をはかりたい」と話した。

JETROとのMOU調印式。中央右から、調印したJETROバンコク事務所所長の保住正保氏、立会人の理事長の石毛博行氏と理事の眞銅竜日郎氏  このほか、JETROとはタイでの産業観光や健康・美容関連ビジネスの促進で相互に協力していく。スパソーン氏はJETROに「産業観光マップ」作成への協力や、「道の駅」設置など、地域振興に関するノウハウの提供を求める旨を説明。「道の駅」については1億4800万バーツを費やし、年内にタイ国内のガソリンスタンドに小規模の「道の駅」を計148ヶ所併設する計画を明かした。「道の駅」ではタイ人の国内観光の促進をはかり、タイ語での情報提供や地方の特産物の販売を実施する。このほか、健康や美容分野を中心に、日本のサービス産業のタイへの参入や、タイの健康・美容関連企業の日本進出の支援などもおこなう。

 テレビ朝日とは両国間の観光プロモーションや観光情報の共有、観光番組の制作やイベントの実施などで協力し、双方向の渡航者数の増加をめざす。