トップインタビュー:アゴーラ・ホスピタリティーズ代表取締役社長の浅生氏
多種多様なホテルコレクションで季節波動を平準化
コレクションを活用した訪日ルートの形成も
宿泊施設の運営などをおこなうアゴーラ・ホスピタリティーズはこのほど、新たな宿泊施設2軒への業務支援を開始した。同社は宿泊施設のアライアンス「アゴーラ・ホテルアライアンス」として、12軒のホテルの運営や業務支援などをおこなっているところ。訪日外国人旅行者が急増するなか、「美しい日本を集めたホテルアライアンス」をビジョンに掲げ、日本を含む全世界からの旅行者をターゲットに展開を続ける同社代表取締役社長の浅生亜也氏に、現状と今後の方針を聞いた。
-ホテルアライアンスを立ち上げたきっかけを改めてお教え下さい
浅生亜也氏(以下敬称略) 2007年に私が「旧野尻湖プリンスホテル(現:野尻湖ホテル エルボスコ)」の再生を引き受けたことがきっかけとなった。リゾートは季節波動がとても激しく、1軒で運営を成り立たせていくのは非常に困難。このため、季節波動を補うように、日本各地の旅館やホテルを組み合わせてコレクションすることを考えた。ピーク時期が違う宿泊施設を組み合わせることで運営の改善をはかることができる。
日本には野尻湖のような素晴らしい自然や美しい景観の場所が多くあるが、まだそういうところにあまり人が訪れていない。日本の季節の移ろいが綺麗な場所や伝統文化などを世界に向けて発信してきたいと考えた時、ホテルは一種のメディアになると考え、宿泊施設をコレクションし、事業として展開しようと考えた。
-どういった宿泊施設を運営されているのですか
浅生 主に都市型ホテルと地方都市のリゾートや旅館の2種類で展開中。都市型ホテルでは「AGORA」を冠したブランドで、地方都市のリゾートや旅館では、地域性や歴史、独自性を重視した個別ブランドで運営している。宿泊施設は自社で所有・運営しているものや、運営を受託しているもの、業務支援サービスを提供しているものまでさまざま。ビジネスの形態には拘らず、旅行しようとしたお客様から見た時、コレクションとして魅力的な宿泊施設の集まりであるようにしていこうと考えている。20年の東京オリンピックまでに、コレクション数を30軒まで増やすことが目標だ。
現在、コレクション12軒のうち、5軒を所有、2軒を賃貸、3軒を運営受託しており、残り2軒に対しては業務支援サービスを提供している。我々は規模や立地にかかわらず、宿泊施設で必ずやらなければならない、経理や人事、営業、広報、共同購買、販促物の作成業務などを一元化している。業務支援サービスは、加盟施設がこうしたサービスを必要なものだけピックアップし利用する「カフェテリア方式」で提供している。8月には愛知県田原市の「和味の宿 角上楼」と「浪漫の宿 井筒楼」について、営業や広報、Eコマースなどの運営面の支援を開始した。