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WIT開幕、420名参加-日本OTAは「体験」重視、O2O強化も

  • 2015年6月8日

 オンライン旅行業界の国際会議「Web in Travel(WIT)JAPAN & NORTH ASIA 2015」が6月5日、東京で開催された。4回目となる今回は420名が参加。このうち3割は海外からの参加となった。なお、スポンサー、パートナー数は32社。「A New Dawn Arise(新しい夜明けの到来)」をテーマに、62名のスピーカーが講演やパネルディスカッションなどを実施した。

観光庁次長の山口由美氏  会議の冒頭登壇した観光庁次長の山口由美氏は「OTAの旅行業界における役割は急速に大きなものになってきている」と重要性を強調。同日発表した2015年の「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」について触れ、観光立国実現に向け「OTAビジネスを日本の中で促進していく」と語った。

 また、「OTAs: ローカルフロント」と題されたセッションでは、ヤフー、リクルートライフスタイル、エイチ・アイ・エス(HIS)、一休、楽天、i.JTBが参加し、日本のOTAの現状と未来についてディスカッションを実施。海外OTAが日本市場に参入し、競争環境が激化する中でそれぞれの強みを活かしたビジネスを展開していく旨を述べた。

 楽天執行役員トラベル事業長の山本考伸氏は、同社の強みとして宿泊施設との強固な関係性と相互理解の深さをあげた。海外OTAと立ち向かっていくためには「日本の宿泊施設を一番知っていると自負している」日本のOTAが、宿泊施設を深堀りし、情報をユニークかつ旅行者目線でわかりやすく提供していくことが重要と説明。「ただ寝るという部屋を売るのではなく、施設での経験を売る」ことに焦点をおいていくと語った。

 リクルートライフスタイル執行役員の宮本賢一郎氏も、宿泊だけではなく「地域を共に作ることを重要にしてきた」とし、今後も力を入れていく考えだ。同社では7月から「じゃらんnet」で、旅行先でのアクティビティなどが予約できる着地型観光サービス「遊び・体験予約」を開始する予定。同サービスにより「消費者の需要に応えることに加え、地域の魅力、旅行の楽しさをより伝えていく」ことで、需要の創出と市場の活性化をはかるとした。

 一方、i.JTB代表取締役社長の今井敏行氏は、O2O(Online to Offline)を強化していく方針を示した。JTBグループでは今年4月から新顧客プログラムを開始し、店舗とウェブのポイントを一本化したところ。同氏は「ポイントがシームレスに使えるようになり、お客様に高度な情報発信、商品提供をおこなえる環境ができた」と喜びを語った。今後はO2Oの取り組みを強化し、2016年中に、ウェブサイト上でツアーを見て、より詳細な説明が聞きたい場合はサイト上のカートに商品を入れ、店舗の担当者にアポイントを取れるようなシステムを構築したいと話した。

 また、HIS執行役員の高野清氏は海外OTAについて、マーケティング力の強さや「優先順位の付け方、データに基づいて勝てる点をみつけるスピードが早い」点を脅威としてあげた。今後は「何をやるにも優先するものはスピード」であるとし、訪日FITの取り組みを強めていきたいと語った。

 ヤフーも訪日需要の取り込みに力を入れていく方針を発表。別途開催されたプレゼンテーションで登壇した同社執行役員ショッピングカンパニー長でYJキャピタル取締役の小澤隆生氏は訪日誘客のためには「現地の出面、メディア(の活用)が必要。すでにソフトバンクグループとして投資済み」であるといい、今後海外での露出を積極的におこなっていくとした。また、ショッピングカンパニートラベルサービスマネージャーの西田裕志氏は「日本で一番利用されているポータルサイトと検索が強み」と説明。同社は2月から独自の国内宿泊商品を提供しており、今後は取扱宿泊施設数を伸ばしていきたいと語った。

 このほか、一休代表取締役社長の森正文氏は、高級日本旅館の仕入れ力を自社の強みとして説明。レストラン予約が急成長を遂げていると語り、「宿泊、レストランを両方やっているのは一休だけ」であることから、今後も独自路線を貫くことでオリジナリティを出していきたい考えを示した。