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トップインタビュー:中国南方航空日本支社長 呉国翔氏

夏ダイヤで日本路線を大幅増便
羽田就航に意欲も

 日本政府観光局(JNTO)によると、2014年の中国への日本人旅行者数は5.6%減の271万7600人と減少した。一方で、中国からの訪日旅行者数は前年比83.3%増の240万9200人と大幅に増加しており、今後もさらなる増加が見込まれる。この状況を踏まえ、中国南方航空(CZ)では2015年に日中間の路線を大幅に増やす計画を発表した。訪日需要の取り組みに力を入れているCZに対し、現状と今後の展開について日本支社長の呉国翔氏に聞いた。

-最近の日本市場の動向について教えてください

呉国翔氏(以下、敬称略) 2014年は日中間の緊張が緩和されてきたと思う。中国からのインバウンドは回復してきているようだ。要因としては、日中間の政治情勢の改善に加え、円安効果による海外からの旅行者の旅行意欲が高まったことなどが挙げられる。日本が東南アジアの各国に対して、ビザ規制を大幅に緩和したことで、CZを使って東南アジアから日本に訪れる人も増えた。

 2014年に日中間でCZを利用した人の数は約30万人。インバウンドが増加したことで、対前年比では16%増となった。ロードファクターは約75%で、アウトバウンドが4割、インバウンドが6割となり、インバウンドがアウトバウンドを上回った。

 一方、アウトバウンドに関しては、ビジネスは安定的に需要がある。ただし、日中間の政治情勢などにより、ここ数年間でレジャー需要は減ってきている。減少の要因の1つとして、円安により出国者の経済負担が大きくなったことが背景にある。

 この2年間で中国と日本の交流はかなり減っているが、ここ最近は中国発のインバウンドは増加している。中国人が日本を訪問して現地を知ると同時に、日本人にも実際に中国に訪れ、中国のことを知ろうとする意欲を持ってほしい。

 さらに、中国への日本人旅行者が減っていることで、一部のマスメディアでは中国にとってマイナスな報道をしているようにも思う。しかし、実際に訪問し中国を肌で感じることで、その人達が自分の言葉で「よかった」と発信できるのではないか。自分で体験することによって、今までの偏った情報を正すことができ、今後より良い関係を築き上げていけるようになるだろう。

 アウトバウンドの取り込みに向けて、CZでは宣伝やピーアールの強化をはかる。日中情勢の緩和や、中国国家観光局が2015年の中国観光テーマに「2015シルクロード観光年」と位置づけてアピールしていくことなどを宣伝材料として日本に訴求したい。

 また、航空会社のみでなく、民間でも中国と日本の双方間で交流を強化しているところで、ますますそのような傾向が強まるだろう。5月22日からは二階俊博議員を筆頭に3000名規模の団体が中国を訪問する。これがひとつの情報発信となり、良いイメージを持ってもらえることを期待している。

 中国では、ここ近年で経済がかなり発展している。今年の旧正月では中国人が日本で買い物をしている状況がテレビで取り上げられて、造語で「爆買」という言葉が作られたくらい、中国人の購買力も上がってきている。さらに、中国現地では観光施設の設備などもより改善されており、中国という国は大きな変化を遂げている。その変化を肌で、日本人にも感じてほしい。

 2015年については、日中間の航空枠が拡大され、インバウンドはさらに増加するだろう。アウトバウンドは、スピードは緩やかだが徐々に回復すると思う。CZとしての今年の目標は、日中間で50万人を取り込むこと。ロードファクターは80%以上をめざす。