JATA、障害者差別解消法特別委員会を設置、対応策を検討
日本旅行業協会(JATA)は2月20日開催の理事会で、「障害者差別解消法特別委員会」の設置を決定した。これは、2016年4月1日に「障害者差別解消法」が施行されることに伴うもの。
同法案は、障がいを理由とする差別の解消を推進し、全国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現につなげることを目的としたもの。国や地方公共団体、民間事業者に対し、障がいを理由とする差別の禁止を求めている。さらに、差別解消のための取り組みについて、政府全体の方針を示す「基本方針」の作成と、行政機関などや分野ごとに障がいを理由とする差別の具体的内容などを示した「対応要項」「対応指針」の作成を定めている。
また、同法では「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮の不提供」が禁止されている。「不当な差別的取扱い」は障がいを理由とし、正当な理由なくサービスの提供を拒否または制限し、条件をつける行為。「合理的配慮」は、障がい者などが何らかの配慮を求める意思を表明した場合、負担になり過ぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要で合理的な配慮を指す。国の行政機関や地方公共団体などは合理的配慮をおこなう法的義務が、民間事業者に対しても配慮するよう務める努力義務が求められている。
国土交通省では現在、法施行に伴う対応指針を検討しており、今夏には策定予定だ。総合政策局安心生活政策課によると、昨年秋ごろから交通事業、不動産業、観光業などの同省の所管分野の各団体や障がい者団体などに対し、具体的事例の収集をはかりアンケート調査やヒアリングを実施。昨年末からはJATAや全国旅行業協会(ANTA)に対し情報収集をおこなっている。4月以降には対応指針策定のための検討委員会も立ち上げる予定だという。
JATAではこうした動きに応え、実務及び法的側面を中心とする各委員会横断の特別委員会を設置し、対応について検討していく考えだ。委員長は法制委員会委員長の原優二氏が務める。副委員長や委員については、弁護士などの有識者、法制委員会、業務改善委員会、実務面においてバリアフリー部会員などを対象に、検討の上決定するとした。