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観光庁、「OTAガイドライン」年度内策定へ、表示ルールなど検討

  • 2015年1月26日

 観光庁は1月26日、旅行取引サイト内で必要な表示ルールなどに関するガイドラインの策定に向け、「OTAガイドライン策定検討委員会」の初会合を開催した。2013年度に開催された「旅行産業研究会」において、ガイドライン策定の必要性が指摘されたことを受けたもので、利用者にとって分かりやすいウェブサイト作りに資することで、OTAの取扱規模拡大により増加が懸念される消費者トラブルの防止をめざす。特に消費者がその存在などを認識しにくく、かつ日本の旅行業法が適用されない海外OTAについて、発生するトラブルを防ぎたい考えだ。

観光庁審議官の蛯名邦晴氏  冒頭の挨拶で観光庁審議官の蛯名邦晴氏は、旅行業界においてもインターネットの利便性が拡大した一方で、「中には必ずしも適当とはいえない取り引きも見受けられる」と報告。委員会では「さまざまな課題について議論し、一定のガイドラインを策定したい」考えを示した。座長には、旅行産業研究会でも座長を務めた一橋大学大学院商学研究科教授の山内弘隆氏を選任した。 

 会合の終了後に記者団の取材に応えた観光産業課課長の石原大氏によれば、この日は全国消費生活相談員協会専務理事の増田悦子氏ら消費者側委員が、具体的なトラブルの例について紹介。楽天執行役員トラベル事業長の山本考伸氏はOTA側委員として、同社の顧客対応体制について説明した。そのほか、日本旅行業協会(JATA)法制委員会委員の佐々木優氏は、JATAが既に策定しているガイドラインに関して説明。現在のところは「問題意識を共有した」段階で、具体的な表示項目および表示方法などについては、次回以降検討するという。

 石原氏は、日本の消費者が海外OTAやその準拠法などについて、ほとんど認識できていないことがトラブルの要因になっているとの見方を提示。OTAがガイドラインを遵守することに加えて、「まずは消費者に海外OTAなるものがある、ということに気づいてもらう」ことの重要性を強調した。なお、ガイドラインについては、それ自体は強制力をもたないものの、ガイドラインを遵守しているOTAを観光庁ウェブサイトでリストアップするなどの活用法も考えられるという。

 策定後の海外OTAへの周知については、日本に事務所があるOTAに対しては直接協力を求め、日本に事務所がないOTAに対しては、文書で連絡するなどの方法を取る見通し。なお、日本語サイトを展開している企業は、日本語による読解や対応が可能と考えられることから、ガイドラインは日本語のみで策定するという。同委員会では今年度内に今回を含めて3回の会合を実施し、年度内の取りまとめをめざす。委員は以下の通り。

▽OTAガイドライン策定検討委員会委員名簿
植竹孝史氏 全国旅行業協会総務財務委員会委員
上山康博氏 百戦錬磨代表取締役社長
佐々木優氏 日本旅行業協会法制委員会委員
沢田登志子氏 ECネットワーク理事
柴田啓氏 ベンチャーリパブリック代表取締役社長CEO
増田悦子氏 全国消費生活相談員協会専務理事
三浦雅生氏 五木田・三浦法律事務所弁護士
矢ケ崎紀子氏 東洋大学国際地域学部国際観光学科准教授
山内弘隆氏 一橋大学大学院商学研究科教授
山本考伸氏 楽天執行役員トラベル事業長


▽訂正案内(編集部 2015年1月27日11時02分)
・訂正箇所:第3段落第3文
誤:そのほか、全国旅行業協会(JATA)法制委員会委員の佐々木優氏は…

正:そのほか、日本旅行業協会(JATA)総務財務委員会委員の植竹孝史氏は…

お詫びし訂正いたします