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アクセスランキング、燃油廃止が1位、田川会長インタビューも

[総評] 今週の1位は、フィリピンの航空当局が燃油サーチャージを廃止することを決めた記事でした。昨年12月22日の発表で1月8日以降の発券分すべてが対象というのが強烈で、年末年始を挟んだこともあって航空会社側の対応にはばらつきが出ています。

 記事では、セブパシフィック航空(5J)、日本航空(JL)、全日空(NH)の3社の対応をご紹介していました。具体的には、5Jが日本発の旅程を含めて「1月9日の予約分」から全廃、これに対してJLは1月9日にウェブサイトを更新して現地発のみ対象外とし、全日空(NH)は取材時点で特段の対応はせず、という状況でした。

 その後、NHは1月14日付けで燃油サーチャージのページを更新し、フィリピン発の旅程について「設定なし」としていますが、もし8日からの約1週間で燃油サーチャージを徴収してしまっていると、杓子定規に捉えれば当局の書面にある「制裁(sanctions)」の対象になる可能性があります。

 もちろん5JもJLも9日以降ですし、直接確認が取れなかったフィリピン航空(PR)も現地の報道では5Jと同様の対応をしているようですので、同じリスクは多少なりともあるでしょう。また、デルタ航空(DL)などその他の航空会社については調べられていませんが、混乱していても不思議ではないように思います。

 今回の決定は原油価格の下落を受けたものということで、旅行業界、あるいは消費者にとって一義的には望ましいことですが、航空会社によって日本発の旅程が対象であったりフィリピン発のみであったりするのは分かりにくさを伴います。

 ただ、今後各社のフィリピン発着路線が総じて減少することでもない限り、燃油サーチャージ制度がなくても路線の維持は可能ということが証明されますから、この点は引き続き注視していきたいものです。

 また、ちょうど今週3位に入ったインタビューでも、日本旅行業協会(JATA)会長の田川博己氏が燃油サーチャージについて言及されています。田川氏は「制度そのものを根本的に覆すことはなかなか難しい」ため、消費者を欺くような条件を改めるよう訴えたい考えを示されていますが、もしもフィリピンに追随するような動きが他国でも出れば話は異なってくるかもしれません。

 とはいえ、フィリピン当局が唐突に廃止を決めた意図は明示されておらず、逆に復活の可能性は示されていますし、正直なところ他国に波及していく要素も理屈も思い浮かびません。ただ、海外メディアなどでは「Fuel prices fall, yet airline surcharges remain」(USA TODAY)といった題の記事も散見されるようになっており、もしかすると世論が追い風となる可能性はあります。

 いずれにしても、アウトバウンドにせよインバウンドにせよ、不透明で分かりにくい運賃、そして場合によって欺瞞すら感じさせる燃油サーチャージの運用が旅行需要にとってマイナスの影響を与えることは間違いありません。今回のフィリピンのような動きが、結果的にそうした主張を後押しするものとなって欲しいと願います。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2015年1月第3週:1月11日0時~1月16日18時)
第1位
フィリピン政府、燃油サーチャージ廃止で通達、各社が対応(15/01/11)

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