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年頭所感(1)15年は訪日に期待、ツーウェイツーリズム拡大も

  • 2015年1月8日

2014年12月22日に成田で開催された、訪日1300万人達成記念セレモニー  観光庁長官の久保成人氏をはじめ、大手旅行会社や航空会社の経営トップなどの年頭所感や年頭のあいさつが出揃った。2014年はビザ要件の戦略的な緩和や消費免税制度の拡充、円安効果などで訪日外客1300万人を達成した。一方、海外旅行は国際情勢や円安、感染症発生の影響などで、11月までの出国者数は1550万2900人と減少するも、羽田空港の国際線2次増枠やLCCの就航路線拡大などのプラス要因もあった。

 こうした状況の中、2015年は訪日旅行に期待するコメントが相次いだ。海外旅行については楽観視できないまでも、日本旅行業協会(JATA)会長の田川博己氏は「フォローの風が吹く」と予想。「2015年は、4000万人相互交流時代の幕開けの年となる」と語った。また、観光庁長官の久保成人氏もツーウェイツーリズムのさらなる拡大を重要視する姿勢を示した。

※旅行会社の順序は観光庁による2014年度上期主要旅行会社50社の総旅行取扱額順


▽観光庁長官 久保成人氏

 2015年を更なる「前進」の年とするため、本年は「観光振興による地方創生」「インバウンドの飛躍的な拡大」「観光による国際相互交流」の3点について重点的に取り組んでいきたい。

・観光振興による地方創生
 今後、国内外の交流人口を拡大して全国に内外の旅行者を呼び込み、地域の経済や社会を活性化していくことが大変重要だ。このため、複数の県が連携して広域観光周遊ルートの形成をはかり、海外へ積極的に発信して、訪日外客の増加をめざしていく。併せて、無料公衆無線LAN環境の整備など地域の受入環境の整備を促進する。さらに、宿泊施設でFIT層向けに情報を分かりやすく発信。「旅館ブランド」を磨き上げるため経営者の人材育成などに取り組んでいく。

 また、国内旅行消費の大半は日本人の国内旅行であるため、国内外の旅行者にとって魅力的な観光地域づくりを推進するべく、引き続き観光圏に取り組んでいくとともに、地域の関係者が連携し各地の観光資源を徹底的に磨き上げる取り組みを進めていく。併せて日本人が旅行しやすい環境整備のため、休暇の取得促進を強力に推進していきたい。

・インバウンドの飛躍的な拡大
 これまでの訪日プロモーション強化に加え、春や秋のシーズンを新たな旅行時期として定着させることが必要だ。旅行需要の平準化を意識したプロモーションで、年間を通して訪日客に日本各地を訪問してもらうよう取り組んでいく。

 また、今年は日本政府観光局(JNTO)が訪日プロモーション事業を直接執行する最初の年。JNTOの体制整備をはかり、現地でより効率的・効果的なプロモーションを実施していく。MICEでは昨年大型国際会議やインセンティブ旅行の誘致などが立て続けに成功。今後も取り組みを一層進めていく。

・観光による国際相互交流
 諸外国との国際相互理解を深め、国際社会での日本の地位を確固たるものとする観点から、ツーウェイツーリズムの更なる拡大が大変重要だ。訪日外客数は順調に拡大しているが、日本人の海外旅行者数は日中・日韓の2国間関係や円安などの影響で、2013年は1700万人台半ばまで低下した。

 このため、各国との双方向の観光交流を一層活性化すべく、旅行業関係者による訪問団の派遣や海外での交流イベント、2国間での相互協力などに取り組んでいく。今年も関係機関との連携をさらに高め、オールジャパンの体制を強化し、観光立国を推進していく。


▽日本旅行業協会(JATA)会長 田川博己氏

 2015年は政府の重要な政策の1つである「地方創生」の重要な担い手として、ツーリズム産業はその役割を果たしていかなければならない。ビザの緩和や為替の円安などを追い風に、2020年を待たずに訪日外客数2000万人実現の可能性も高まっている。日中韓の関係も改善に向けた流れが始まっており、今年は海外旅行にとってもフォローの風が強まることは間違いない。

 一方、相互交流が本格的に3000万人を超える時代の到来に、日本の抱えるインフラの問題点がハード・ソフトの両面で表面化する。その対応策を練る中で、2020年の4000万人時代へ向け、観光大国としての長期的なビジョンを作成するのも今年をおいて他にはない。

 インバウンドは日本のツーリズムの国際化ともいえる。日本人の国際化に貢献してきたJATAだが、今後は日本のツーリズムの国際化の一翼を担うと同時に、JATA自体もさらにグローバルに活動していかなければならない。日本のツーリズムの国際化を推進できる団体は、JATAをおいて他にはないという自負がある。JATAの国際的な存在感を高めるために国際機関との連携を深めていく。同時に地域の活性化のためには地域に根ざした活動が必要とされているので、これまで以上に支部との連携を進めていく。

 また、旅行業制度のあり方について、グローバル化を踏まえ、今年はいよいよ具体的に方向性をまとめる段階にはいる。ツーリズムによる文化、価値の創造のなかで旅行業が中心的な役割を果たしていけるよう、2020年度を大きな節目ととらえ、2016年度からの新たな活動の枠組みを構築していく。

 「ツーリズムEXPOジャパン」も2年目を迎える。BtoBとBtoCの両面で、旅行業界の持つ力と可能性を知らしめる貴重な機会であり、総合的な旅のイベントとしてその意味合いと重要性を再確認したい。

 戦略的に日本をアピールしていくために、2015年には、2020年に向けたグランドデザインを固めなければならない。旅行業だけに限らず、あらゆる産業分野で節目を迎えることになるが、どういう節目にするかが重要だと考えている。

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