JATA田川会長、15年韓国は双方向で地方観光、旅行会社の力示す

  • 2014年12月3日

JATA会長の田川博己氏  12月3日に開催された日韓観光交流拡大シンポジウム内のパネルディスカッションで、日本旅行業協会(JATA)会長の田川博己氏は2015年の日韓国交正常化50周年で「いよいよ日韓の間で地方観光を増やすタイミングに来た」とし、地方観光活性化の重要性を強調した。

 同氏は今まではソウルなどの大都市を中心に量を送り込むことを重視してきたと振り返り、相互交流700万人は大切としながらも「質的な問題をどう高めるかが課題であり、そのキーワードとなるのは地方」と説明。大都市の訪問者は「エアー&ホテルのようなものが多く、旅行会社が持っている能力は十分発揮されていない」ことから、旅行会社が企画力を発揮し、プレゼンスを高めるためにも地方への商品造成は重要と語った。

 JATAでは12月8日から12日にかけて、韓国へ1000名規模のメガファムツアーを実施する。田川氏は旅行会社のカウンターセールスや団体営業といった販売担当者が主に参加することを紹介し、韓国観光公社(KTO)に対し「地方の韓国の魅力を掘り下げる機会として活用していただきたい」とした。

 また、田川氏は韓国側の課題として、地方のコンテンツ不足を指摘。「いろいろなイベントはあるがシナリオ化されていない」と話し、イベントごとの関連性を明らかにするなど「物語をしっかり見せてほしい」と要望。顧客に対し「なぜそこに行かなければいけないか」を説明できるようにしてほしいと語った。

 さらに、田川氏は2018年の平昌五輪、19年のラグビーワールドカップ、20年の東京五輪について言及。世界大会が3年連続で開催されることから、日韓で連携をはかるため、ミーティングをおこなうべきと提言した。

パネルディスカッションには4名のパネリストが参加  このほか、シンポジウムでは九州観光推進機構会長の石原進氏が、韓国から日本各地への訪日誘客について九州の取り組みを例に課題を指摘。2013年に空路または海路で九州を直接訪問した外国人旅行者は125万人だが、韓国はこのうち6割を占めており「韓国は命綱であり、いかに増やすのかが最も重要」であることを強調した。

 ただし、九州各県で個別のプロモーションを展開することは認知度の問題から困難であり、九州として共通のイメージで連携して取り組むことが必要と指摘。その上で、アジアの国々のアンケートをみると、温泉がベスト3に入ることから「温泉という形で九州をまとめてプロモーションしていく」方針を示した。

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