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「変化こそ旅行業の魅力」、現役社員による生の声-ツーリズムEXPO

  • 2014年10月28日

JATAが就活生向けセミナー開催
業態・職種の理解でミスマッチ予防を

定員を上回る約290名が来場。開場は満席となった  次世代を担う若手の人材確保は、旅行業界にとって喫緊の課題。就職活動を進める大学生に旅行業の魅力を知ってもらい、目標意識を持った学生を呼び込もうと、今年のツーリズムEXPOジャパンでは大学生を対象にした旅行業界研究セミナーを開催した。セミナーは、旅行会社トップによる「仕事の魅力・求められる人材」をテーマにした講演をはじめ、ベテラン社員による旅行業の概要説明、若手社員らによるパネルディスカッションの3部構成で実施された。200名の定員で募集した会場には、定員を上回る約290名が来場。学生たちは現役社員の生の声を熱心にノートへ書き留めていた。


旅行業の役割に変化
若手に望まれる素質は発想力と実現力

トップツアー副会長の石川邦大氏  セミナーの冒頭ではトップツアー副会長の石川邦大氏が登壇し、旅行業がどのような仕事で、いまどのような人材が望まれているかをトップの視点で語った。石川氏はまず、企業には社会的な役割があり、社会が必要としている商品やサービスを提供し続ける必要があること、さらにその役割は固定的なものではなく、社会環境の変化によって変わるものであることを説明。就職活動を進める学生に対し、「将来の環境変化を推測し、将来どのような役割を果たす企業をめざすか、その中でどう自分の強みを活かし、どのようなニーズに対応していくかビジョンを持つことが重要」と呼びかけた。

 その上で石川氏は、旅行業の果たす役割が「近年大きく変化している」と指摘。従来は旅に関するさまざまな情報を提供し、必要な旅行素材を代理店として販売することが大きな役割だったが、近年はインターネットの普及によって「その役割は格段に小さくなった」とし、「小さくなった分、新たな役割を担うようになった」と言及。

 具体的な例として、スポーツや文化体験などSIT型商品の需要が高まっていること、観光立国政策によって訪日旅行客が急増していること、企業旅行ではさまざまな課題を解決するソリューション型のビジネスが増えつつあることを挙げ、「ニーズの多様化に伴い、旅行会社の役割が細分化され、会社によって業務の内容や進む方向が大きく異なっている」ことをポイントとして示した。

 旅行業の役割は変化しつつあるものの、石川氏は「変化こそが旅行業の魅力」と表現。「今後も多様化するニーズに対応していくことで、発展性が期待できる産業」であることを強調し、会場の学生に対しても、「今後どのようなサービスを社会から必要とされるかを考えてもらいたい」と呼びかけた。

 発展性という点では、超高齢化社会が到来しつつある中で要支援者や要介護者向けの旅行商品が不十分であることを例に挙げ、「介護を受けている人や、介護する家族が安心して参加できる旅行サービスが提供できれば、社会に対して貢献ができるのではないか」といった考え方も示した。

 旅行業界が望んでいる人材像については、「新しい商品やサービスを開発する力、発想力と実現力を持った人材」と発言。とくに実現力については、「発想を実現するためには努力の積み重ねが必要」であることを強調し、最も旅行業界に求められる資質だとした。