タイ、戒厳令下の観光に理解求める「真実ピーアールしたい」
「ツーリズムEXPOジャパン2014」に合わせて来日した、タイ国政府観光庁(TAT)総裁のタワチャイ・アルインク氏は9月26日に記者会見を開催し、今後の日本向けプロモーションについて考えを述べた。同国では今年5月の反政府デモ発生以降、新政権が戒厳令を発令しているが、前政権と現政権の観光産業に対する取り組み方針については「経済活性化のチャネルとして変わりはない」とし、「日本人は戒厳令に怖いイメージを持つかもしれないが、タイ人には特別な状況ではない」と述べ、観光への影響は少ないことをアピールした。
アルインク氏はタイ人の国民性について、「いがみ合ってもすぐに仲良くなる独特の精神性がある」と説明。「日本人には理解しにくい部分もあると思うが、タイ人の本質をお伝えして理解を得たい」とし、今後は戒厳令にまつわる負のイメージを払拭するため、マスコミなどを活用して「もっと真実をピーアールしたい」と述べた。
TAT幹部は会見の前日、日本旅行業協会(JATA)や日本の旅行会社と意見交換会を開催。戒厳令によってファーストビジターが減少している状況を受けて、日本側の参加者からもピーアールや広告活動への注力を求める声が挙がったという。その他には日本向けの新たなデスティネーションや切り口、家族向け商品などの提案を求める意見が挙がった。2014年の日本人訪問者数は消費税増税の影響などもあり、前年比11.66%減の133万9000人となる見通し。
TATでは2015年を「ビジット・タイランド・イヤー」と銘打ち、外国人旅行者にはタイ人の国民性や生活文化などの「タイネス(タイらしさ)」を訴求する。1月から9月まで多数のイベントを実施するほか、リピーターに向けては有名な観光地に加えて、「タイネス」を色濃く残す12の地方都市への旅を提案するという。
アルインク氏はそのほか、TATがタイ国内の損害保険会社4社と提携して今年8月から販売を開始した旅行保険「タイランド・トラベル・シールド」についても言及。戒厳令下でも適用される同保険を、今後は更に周知していきたい考えを示した。TATによれば同保険は現在350名ほどが利用。戒厳令が発令されている間は永続的に販売するという。