トップインタビュー:UA太平洋地区営業担当支社長 マット・ミラー氏
UA初の羽田線、アクセス利便が鍵
成田の際際ハブは維持、行政に要望も
ユナイテッド航空(UA)は10月28日、羽田/サンフランシスコ線を就航する。羽田/米国線は、深夜早朝時間帯の制約から他社で集客に苦戦したケースもあるが、成功に向けてどのような営業を進めるか。また、進展しない昼間発着枠の行方や成田との棲み分けは――。UA太平洋地区営業担当支社長のマット・ミラー氏に戦略を聞いた。(聞き手:本誌編集長 松本裕一 構成:人長紘子)
-羽田/サンフランシスコ線の意義と、貴社の強みをお聞かせください
マット・ミラー氏(以下、敬称略) UAにとって羽田への定期便就航は初めて。過去にグアムへのチャーター便を飛ばしたことはあるが、米国内の最大のハブの1つであるサンフランシスコに定期便を開設するのはこれが初だ。
羽田就航での強みは東京の都心から近いこと。その上で、成功の鍵はいくつかあると思う。1つは、就航している時間に空港までの交通アクセスがあるかどうか。我々のサンフランシスコ線は22時45分に羽田着、01時に羽田発であり、モノレール、電車、バスなど公共交通機関で東京都心との接続が可能だ。これが他社との差別化の鍵になると思う。
次に、日米の2地点間で最大の需要を見込める路線ということ。我々は全日空(NH)とのジョイントベンチャーにより、UAのサンフランシスコ、NHの羽田という2つのハブから国内線、国際線に接続することができる。例えばサンフランシスコでは約20都市に接続が可能だ。日本で夜まで働いて食事を済ませてから旅行するような方々にとっては、米国西部へ行くのにとても便利だと思う。
-羽田線でのターゲットや顧客シェアはどのように見込んでいらっしゃるでしょうか
ミラー 今回の就航にあたり、現在ボーイングB747型機を用いてダブルデイリーで運航している成田/サンフランシスコ線の1つを羽田に移し、使用機材をB777型機に変更する。このため、まずは成田線の既存顧客で羽田を利用したいと考えてくださる方々のシフトは見込むことができる。すでに、ビジネス、レジャーともに需要の基盤はできており、成田へのサービスも継続することで選択肢を提供していく。
シェアは、成田便と同じような割合になるだろう。日本人と米国人が同程度、残りがアジア/北米間となる見込みだ。ただし、東京/サンフランシスコ間の需要が非常に大きいので、今回就航する羽田は成田と比較すれば少し日米市場の割合が多くなるはずだ。
また、日本国内でも地方からの需要に期待できる。まず往路は、夜までに羽田に到着する地方路線がいくつもある。復路については22時45分着と国内線がほとんど運航していない状態ではあるが、往路は羽田、復路は成田を利用してNHが運航する福岡や沖縄などへ帰る方々もいらっしゃるだろう。