日本初のUNWTO職員にJTBの熊田氏-7月から2年で
観光庁は、国連世界観光機関(UNWTO)本部アジア・太平洋部門コーディネーターとして、ジェイティービー(JTB)の熊田順一氏の派遣が決定したと発表した。今まで日本からはUNWTO本部に研修目的で地域事務所職員1名とインターン1名を派遣しているが、日本人で同機関職員に採用されたのは初めて。7月から2年間の任期でスペイン・マドリッドに派遣される。
観光庁によると、以前からUNWTOには金銭面の支援だけでなく人的支援を求められていたといい、昨年日本旅行業協会(JATA)とUNWTOが包括連携協定を結んだことから、JATAに人材派遣に関して協力を要請。その結果、熊田氏の派遣に至ったという。今回の派遣によりUNWTOとその加盟各国の政府関係者、観光従事者とネットワーク構築を強化することで、日本の観光立国に向けた取り組みを発信し、国際観光の振興に貢献したい考えだ。
一方、JTBでは今回の派遣の目的として、「世界および日本の観光振興、人流拡大に貢献する」「日本のツーリズム産業の拡大に寄与する」「JTBグループにおけるグローバル人材育成の機会とする」の3点を挙げた。
熊田氏は1992年に日本交通公社国際旅行事業部に配属されて以降、訪日インバウンド業務に従事しており、2009年7月からはJTBグローバルマーケティング&トラベルに所属。訪日外国人向け旅行予約サイト「JAPANiCAN.com(ジャパニカン)」創業にも責任者として携わった。UNWTOではアジア太平洋部門で実施される様々なプロジェクトのアレンジメントや企画立案に携わることになる。
熊田氏はこのほど業界誌の取材に応え、UNWTOで旅の力を通じて平和や貧困軽減などに対し、日本の旅行業界として貢献していきたいと語った。また、日常の場面などで感じるちょっとした景色、見失われがちな瞬間などの魅力を世界中に発信する「マイクロツーリズム」や、若者層の需要喚起のため、次世代と共に旅をする「トラベル・ウィズ・ネクストジェネレーション」運動をおこなっていきたいとした。
また、インバウンドを手配する際の海外の顧客を通じて「日本人が経験していない、世界の人々が楽しんでいる旅のスタイルはたくさんある」とし、UNWTOで学ぶことで「日本の旅行でよいスタイルに転換させられるよう勉強していきたい」と意気込みを示した。