TCSA、「みなし労働」適用外で添乗時間の管理訴え-訪日人材育成も
日本添乗サービス協会(TCSA)は3月20日の第28回通常総会で、2013年度の事業活動報告と2014年度の事業活動計画を承認した。今年度は添乗環境整備事業で、添乗業務の時間管理への対応に注力していく。TCSA会長の山田隆英氏は、今年1月に最高裁判所が阪急トラベルサポートに下した添乗員の「みなし労働」を認めないという判決により「労働時間管理の問題が変わってくる」とし、TCSAとして旅行会社を始めとした関連各位に対する対応を強化していく考えを示した。
海外旅行の添乗員の労働時間については労働時間の算定が困難であるため、今まで一定時間働いたものとみなす「みなし労働時間制」が採用されてきた。しかし、阪急トラベルサポートに対し、海外募集型企画旅行の添乗を担当していた派遣添乗員が未払い残業代などの支払いを求めた裁判で、第二審の東京高等裁判所はみなし労働には当たらないとし、残業代などを支払うべきとの判決を言い渡した。阪急トラベルサポートは最高裁判所に上告したが、今年1月に最高裁判所は上告を棄却。「添乗員の勤務の状況を具体的に把握することが困難であったとは認め難く」あるとし、みなし労働に当たるとはいえないと判決を下した。
TCSA専務理事の三橋滋子氏は「(判決は)1つの添乗労働についての考え方を明記した」ものであるとし、今後添乗員の労働時間管理は派遣先の旅行会社がしっかりとおこなうべき業務であると指摘。今までは日当ベースが主流だったが、今後は労働時間を明確に算出していく必要がある。三橋氏によると、すでに一部の大手旅行会社ではトライアルで時間単位の管理を実施しており「今後全国に浸透させていきたい」とした。
TCSAでは5月までに、みなし労働ではなく時間単位で管理するよう求める文書を作成し、派遣先の旅行会社や派遣会社などに配布する予定。ただし、国内の着地型旅行のように、日当から時間単位での管理に変わることで給与が少なくなるケースも考えられることから、TCSAでは旅行会社側などに理解を求めるとともに、話し合いを進めていきたいとした。
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