ANA、16年度までに国際線45%増、国内線上回る-中期経営戦略
ANAホールディングス(ANAHD)は2月14日、2014年度から2016年度までの中期経営戦略を発表し、この中で全日空(NH)のFSC事業について、2016年度までに国際線の座席供給量を2013年度比で約45%増とし、逆に4%程度削減する国内線を上回る計画を盛り込んだ。
国内線で今後の需要拡大が望めず、LCCの参入や新幹線の延伸など経営環境が厳しくなる中で、日本企業の海外展開や訪日外国人旅行者の増加、首都圏発着枠の拡大を背景として、国際線が成長を支える事業であると位置づける。
発表資料によると、座席供給量を表す有効座席キロ(ASK)は、2013年度では国際線が400億キロ強、国内線が約600億キロだが、国内線は毎年度わずかに規模を縮小して2016年度には600億キロを下回る。一方、国際線は、2014年度が500億キロ弱、2015年度が550億キロ前後、2016年度が600億キロとした。
2014年度の羽田発着路線の拡充以外、今後の路線便数計画は未定だが、ANAHD代表取締役社長の伊東信一郎氏は会見で、欧州と米国にそれぞれ1、2地点を開設し、アジアは「増便を含めてかなりの地点を飛ばしたい」と意欲を示した。
事業規模以外でも、国際線については「羽田最大の国際線ネットワークキャリア」の優位性を活用して、高単価な首都圏発着のビジネス需要と国内の地方発着需要を獲得して将来に続く収益基盤を確立すると明示。
急激なASKの拡大で需給バランスが崩れる可能性を指摘する声もあるが、伊東氏は「(他社は)成田から羽田に移る分など(もあり)、この春ではそんなに大きくは増えない」とし、「羽田で最大の国際線ネットワークで国内線との乗継需要を取れるということを思えば競争力は落ちない、もしくは上がる」と強調。その上で、「スターアライアンスのシェアも圧倒的に他より多い。我々は羽田の国際線に自信を持って対応できる。収益を上げることは可能」と語った。