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JATA、ツアー安全管理の指針策定、観光庁に提出

  • 2014年1月8日

 日本旅行業協会(JATA)はこのほど、「観光危機管理における組織的マネジメントのあり方」と題した提言を作成し、観光庁に提出した。これは、2013年に観光庁の観光産業政策検討会によって取りまとめられた提言の中で、バス事故や万里の長城での事故を受けて旅行の安全確保のために組織的な安全マネジメントが必要とされたことを受けたもの。

 JATAの提言では、危機が発生した際の初期対応と復興支援のそれぞれで旅行会社が果たす役割を示すとともに、従来から旅行会社が事故対応や安否確認、避難誘導などの対応をおこない、さらに業界としても緊急時の情報共有や観光庁、外務省などとの連絡体制を構築していることなどをアピール。その上で、会員会社のツアーの危機管理体制を確実なものとするため、今後の具体的な行動指針として「旅行安全マネジメント」を提起した。

 旅行安全マネジメントでは、旅行会社の代表者や代表者が指名する役員が安全管理責任者に就き、トップから現場までが一丸となって安心、安全を確保できる組織体制とするよう求め、同時に安全確保に関する計画策定(Plan)、実行(Do)、チェック(Check)、改善(Act)を連関しておこなう体制を構築することが必要としている。

 この中には、ツアーオペレーターとの契約に関する基本事項や、ツアーオペレーターの業務についての安全マネジメント調査票、国内、訪日旅行での安全基準項目、自主点検チェック表なども盛り込んだ。官民協力の推進や復興支援への取り組み強化なども触れた。

 今後は情報の整備と共有の強化や、旅行会社とサービス提供機関の責任区分についての消費者の認知向上、「旅の安全の日」の設定、IT技術の応用の提案なども検討していく方針だ。

 なお、旅行の安全マネジメントについては、観光庁が現在第5回まで開催している「旅行産業研究会」の議題にもなっているところ。研究会では航空や鉄道、自動車など運輸業者の運輸安全マネジメント制度を参考とし、旅行業にも同種の安全確保策を導入するべく検討が進められているが、第4回の会合ではJATAが今回策定した「旅行安全マネジメント」をベースとしていく方向が示されていた。