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アクセスランキング、1位はタイの現状、2位は年末年始動向

[総評] 今週の1位は、タイにおける反政府デモの旅行への影響をお伝えした記事でした。ここしばらくは落ち着いていたものの、タイではそれなりの頻度で政治的な対立が顕在化しており、例えばスワンナプーム空港の閉鎖なども記憶に残っていますし、はっきりいってしまえば恒例行事のような印象を受けてしまいます。

 亡くなった方もいらっしゃる中で恒例行事などと書くのは不謹慎かもしれませんし、デモに参加される方、あるいはそれに反対される方にとっては人生や生活に深く関わる要因が背景にあるのでしょう。ただ、観光面に限定すれば、そして日本からの旅行需要という視点で考えれば、「微笑みの国」には似つかわしくないこうした出来事は残念でなりません。

 とはいえ今回は、これまでのこうした人災や天災に関する取材の中で、最も影響が出ていないケースと感じられました。取材にお応えいただく皆様の言葉の選び方やニュアンスなどから感じるものなので、現状を正確に捉えているかは不明ながら、旅行者にとっても何度も起きているが故の「慣れ」や、リピーターの多いタイならではの理解度が表れたのではないかと思われます。

 旅行に関して日本人は心配性といわれており、何かが起きるとメディアなどが盛んに書き立てる現地の惨状や危険性を鵜呑みにして旅行意欲を失う、ということは2008年に地震が発生した直後に中国四川省を訪れて、自分自身の中にも感じた性質です。

 これに対して、今回のタイにおける市場の反応は、タイだからなのか、あるいはまだ物質的な被害が大きくないからなのかわかりませんが、従来とは異なる傾向を示しているように思われます。

 旅行中のリスクに関しては、ちょうど観光庁による旅行産業研究会で議論されたところで(リンク)、そこでは事故などの危険について旅行会社と消費者の責任範囲がどうあるべきかが話されたそうですが、こういった人災、天災のリスクと消費者の意識の関係というのも興味深い視点です。

 先ほどメディアの報道姿勢について批判めいた書き方をしましたが、例えばテレビに映る映像や新聞の文章、写真などは、基本的に事実ではあるはずで、その現状を過小評価するのはまた誤りでしょう。カメラのレンズから外れた、災害の影響を受けなかった部分の事実を知り、客観的に判断するということが、旅行業界にも消費者にも求められます。

 なお、今週はこのほか2位にジェイティービー(JTB)による年末年始の旅行動向調査の記事が入りました。海外旅行、国内旅行ともに過去最高ということで、短距離デスティネーションの需要減で苦しんだ1年でしたからとても明るいニュースです。単に日並びが良いからという味気ない分析も可能ですが、2014年のスタートダッシュに繋がる結果となることを期待しています。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2013年12月第1週:12月1日0時~12月6日17時)
第1位
タイのデモ、旅行需要への影響「現状ほぼなし」、長期化は懸念(13/12/03)

第2位
年末年始の海外旅行、過去最高の69.5万人見込む-JTB調査(13/12/04)

第3位
ピーチ、14年夏の国際線は6路線で1日10便計画(13/12/04)

第4位
JAL・ANA、10月の国際線旅客は12%増、北米線の利用率低下(13/12/01)

第5位
日本航空、新座席搭載のB777を成田/フランクフルト線に-14年4月から(13/12/03)

第6位
HISの年末年始海外旅行、前年超え-チャーターで仕入強化も(13/12/05)

第7位
日本航空、15年度新卒採用へ、約285名-ジャルパックなども(13/12/01)

第8位
日本航空とカタール航空が共同運航、ドーハ線と日本国内線(13/12/01)

第9位
オーストリア航空、JV効果で企業顧客増加-14年は就航25周年(13/12/02)

第10位
エチオピア航空協議、成田に週7便就航可能に、共同運航も自由化(13/12/04)