トップインタビュー:日経カルチャー代表取締役社長の西尾敏宏氏
日経の文化的テーマ性とブランド力、阪急の販売力が強み
宣伝活動強化、参加者の幸福度向上で支持される会社へ
日本経済新聞社と阪急交通社は今年1月、旅行事業で共同運営を開始。合弁会社の日経カルチャー代表取締役社長には、阪急交通社の企画統括本部海外企画部長であった西尾敏宏氏が就任した。メディアや仕入れ、商品企画、営業、経営企画など、国内、海外、インバウンドに至る旅行の幅広い部門で責任者を歴任した西尾氏は、企業規模やビジネスモデルの異なる日経カルチャーでどのように舵取りをしていくのか。共同運営開始後から半年の振り返りと阪急交通社とのシナジー効果、今後の方針を聞いた。
-改めて、今回の共同運営のねらいを教えてください
西尾敏宏氏(以下敬称略) 以前の日経カルチャーの旅行事業は日本経済新聞社の文化事業の一つとして、シニアを主要客層に知的・文化的な旅行商品を提供していたが、収益ベースに乗せることが難しかった。テーマを深掘りした内容の良い商品を作りながらも十分な販売ができていなかったということで、阪急交通社の持つ宣伝集客のノウハウを組み合わせ、事業の収益化、拡大化をめざしていこうというのが共同運営の概要だ。
以前の日経カルチャーでは収益ベースに必要な人数目標を達成できていなかった。弊社の場合、例えば海外旅行では100万円を超えるのはよくあり、国内日帰り旅行でも2万、3万円の高額な商品が多い。良い商品であっても、一般的なシニア層に気軽に参加していただくのはなかなか難しかったのだろう。また、商品の宣伝活動でも、コスト部分とノウハウを含めてチャンスを生かしきれていなかったのかとも思う。
-阪急交通社としては日経カルチャーと組むメリットをどのように捉えているのですか
西尾 阪急交通社の商品は現在、価格と内容のバランス面でご支持をいただいているが、テーマ性や希少性で掘り下げた企画商品造成という部分では、まだまだやらなくてはならないところがある。また、市場動向として今後、オンライン旅行ビジネスが進み、素材組合せ型の旅行商品が増えるようになれば、旅行会社としての本来の機能的役割も懸念される。
旅行会社に期待されるところは企画力であり、それをベースにしている会社が日経カルチャーだ。販売力と商品との総合力でビジネスモデルがしっかりと根付けば、阪急交通社としても多様化するニーズに対応するヒントになるとの意図もあったと思う。