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JATA新事務局長の越智氏、中小旅行会社のサポート充実へ

  • 2013年7月4日

JATA事務局長の越智良典氏 このほど日本旅行業協会(JATA)事務局長に就任した越智良典氏は、7月3日の定例会見で「キーワードは『中小』と『全国』。会員の方々に幅広いサービス、情報の還元をしていきたい」と述べ、大手旅行会社に加え、中小旅行会社会員に対するサポートの充実に意欲を示した。

 同氏はユナイテッドツアーズの社長時代、エアオンのホールセラーとして約千数百社の旅行会社と取引していたが「個性のある中小の旅行会社が、専門分野でしっかりとお客様を握って頑張っていると実感した」という。越智氏は「日本の旅行業は大手会社もあれば、個性のある中小の会社もある。全体として多様性が日本の旅行業の強み」と説明。その一方、人的余裕の問題などからJATAの各委員会などに人を出せるのは大手旅行会社が中心になり、情報が中小旅行会社に還元されにくいとし、改善していきたいと述べた。

 また、越智氏はトラベル世界の経営破綻について「経営については個別の問題」としながらも、「中小旅行会社が儲かる仕組みを作るのは団体の仕事。業界の効率改善のプラットフォームを提供したい」と意気込みを語った。現在株式会社ジャタで、コスト削減のための共同購入の仕組みなど、プラットフォームづくりのための活動を検討中。また、人材の獲得や育成のためのプログラムづくりもおこなう考えで、すでにこの夏、大手から中小旅行会社まで18社が参加する共同インターンシップの実施を決定。今後数社合同の企業説明会の開催も計画しているという。

 さらに、越智氏は国のブランド戦略についても言及。2010年のサイモン・アンホルト氏による国家ブランド指数をみると日本は5位で、観光、国民、文化と遺跡、投資と移住、政府、輸出の6つの指標のうち観光は8位。一方、日本のライバルである韓国は全体が32位となっており、韓流スターを使ってのブランド指数の向上をはかり、医療観光に力を入れるなど、国家戦略として観光を強化することでブランド指数の向上をめざしているという。

 越智氏は各国のブランド間競争が激化するなか、「日本はオールジャパンで戦わないと、世界との競争で負けてしまう」と、観光の重要性を改めて述べた。今後はJATAとして観光関連団体に加え、経済界や学会、海外と連携を広げ、「観光の裾野が広がるなか、観光のポテンシャルをあげていきたい。そのなかで旅行会社がリーダーシップを取っていきたい」考えだ。

 同氏によると、宿泊業についてはアメリカのコーネル大学のホテル経営学などから成功例やモデルはあるが、「旅行業には儲かる仕組みがない」という。今後は産官学の連携の強化をはかり、JATAとして会員各社がインバウンドを取り扱うかどうかを検討し、選択できるような成功例を提供していきたいとした。