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トップインタビュー:NOE代表取締役社長の影山克明氏

社員に「健全な危機感」を
業務渡航とレジャー融合で成長めざす

1960年創業という老舗であるエヌオーイー(NOE)。業務渡航を主力としつつレジャー分野でも新日本トラベルの買収など事業を拡大し、さらに近年では旅行会社向けのITシステム販売も手がけるなど存在感のある中堅旅行会社だ。そのNOEに今年4月、銀行出身の影山克明氏が代表取締役社長に就任。「“挑戦と変革!” そして未来への飛躍」をテーマに、元銀行員ならではの視点で社内改革に着手している。危機感の薄さに警鐘を鳴らし、新しいビジネスモデルを構築しようとする影山氏に話を聞いた。


-これまでのご経歴をお聞かせください

影山克明氏(以下敬称略) 1979年に三和銀行に入行し、国内外の支店長を経て2009年4月にNOEに出向転籍した。銀行員生活を30年やって、この会社にきたことになる。銀行ではニューヨークやトロント、ジャカルタなど海外駐在を通算13年、また為替のディーラーも丸8年経験しており、一般的な“銀行員”とは少し違う経歴かもしれない。

 NOEでは2009年の転籍時は常務、2011年から専務として主に営業部門を見てきた。


-金融業でのご経験が豊富ですが、旅行業界にいらっしゃるまではこの業界にどのような印象を抱いていらっしゃいましたか

影山 銀行員時代にいろいろな業種の方々とお付き合いをしたが、実は旅行業界との接点はまったくなく、そういう意味では特にこれといったイメージは持っていなかった。

 しかし、ちょうど私がNOEに入社した2009年にゼロコミッションが始まった。ゼロコミッションは何年も前からいわれてきたことなのにその対応は対処療法的なものであったため、危機感が薄いとは感じた。旅行業界全体にいえる話かもしれないが。


-先入観なく旅行業界に入られたのですね。入社して、そして社長に就任なさったそのご所感をお聞かせください

影山 大変な時期に社長になってしまったな、というのが正直な気持ちだ。ただ、引き受けた以上は当然会社を良くしていかなくてはならない。そのためには会社のカルチャーを変える必要があると感じている。もちろん一朝一夕に変えられるものではないが、旅行会社が今まで通りのやり方を続けていくだけでは生き残るのは難しいだろう。なにか新たなビジネスモデルを構築する必要があると考えている。

 旅行業に限ったことではないが、例えば20年前、人々は日本長期信用銀行や北海道拓殖銀行がつぶれるとは考えもしなかった。同じように、誰も日本航空(JL)が経営破綻をするとは思っていなかった。また、大企業、有名企業に入社すれば一生安泰だと思われていた。しかし、実際は先に例を挙げたような何千人、何万人という社員を抱えた大企業が経営破綻を起こしている。

 そんな中で、旅行会社では幸いにも大きな経営破綻が起きていない。しかし、このために他の業界と比べると危機感が薄いかもしれない。NOEも設立してから50年以上営業を続けてきており、こういった会社にはどこかに安心感がある。しかし、民間企業というものは、経営努力を怠りビジネスモデルの変革を真剣にやらなければ破綻する。

 「ウチだってこのままなにもしないでいればつぶれるかもしれないぞ」という健全な危機感を持ってもらいたい。それを社長になってすぐみんなに伝えた。


-どのように変革をしようとお考えですか

影山 銀行員時代から私のベースにあるのは「約束を守る」「お客様を第一に考える」ということだ。当たり前のことだが、これは組織ではなかなか難しいものだ。まずはこういう基本的なことを意識してやり続けていけば、新しいビジネスモデルも見えてくるのではないかと考えている。