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オーストラリア50万人復活へ、TAと各州の動き-ATEレポート(1)

  • 2013年5月21日

TAは新体制スタート、州の活動と棲み分けで効率化
NSWは日本市場に予算増、QFは日本線プロダクト改善も

ATE会場中央に設けられたTAブース

ニューサウスウェールズ州シドニーで4月26日から30日にかけて行われた「オーストラリア・ツーリズム・エクスチェンジ(ATE)2013」。2000年以降、西半球と東半球にマーケットを分けて行われていたが、今回再び東西合わせて実施。トレードデイも4日間に伸びた。日本からは50名のバイヤーが参加。オーストラリア・ツーリズム(TA)の組織改編にともない、新しい日本・韓国地区局長が発表され新たなTAの活動方針が示されるなど、日本市場にとっては話題の多いATEとなった。

▽TA、消費者へのアプローチ強化、業界へは側面サポート

インタビューに応えるアンドリュー・マカボイTA本局局長

 TA本局局長のアンドリュー・マカボイ氏は弊誌らのインタビューのなかで、現在TAが世界的に進めている「ディストリビューション2020」について説明。TAは一般消費者向けの活動に力点を移していく方針を示した。その背景について「TAの旅行業界向けの活動はしばしば各州や各地域の観光局と重なっているのが実情。それぞれの活動を効率よく調整することで、それぞれのリソースを有効に使っていく」と話す。旅行業界への働きかけは基本的には各州政府観光局が担い、TAは側面からサポートしていく方向性だ。

 一方で、マカボイ氏は「旅行業界へのアプローチを全くやめるわけではない」と強調する。その例として、今年4月からBS朝日で放映が始まった「みんなで選ぶとっておき!オーストラリア〜BEST10」について言及。「この番組は消費者向けのアプローチだが、JTB、HIS、ジャルバックと協力して展開している。消費者の関心を高めていくためにも、旅行会社の力は欠かせない」と話し、日本市場での旅行会社の重要性を改めて指摘した。

 TAは、日本・韓国地区局長に就任したアンドリュー・ライリー氏の下に日本市場を統括し、「旅行業界やメディアなどとのパートナーシップを強めるため」(マカボイ氏)にカントリー・マネージャーを置く。MICEや教育旅行などほかの旅行分野にも関わっていく計画であることから、「カントリー・マネージャーの役割は非常に大きいものになるだろう」との見解を示した。

新しく日本・韓国地区局長に就任したアンドリュー・ライリー氏(左)とアンドリュー・マカボイTA本局局長

 また、マカボイ氏は業界向けのトレーニングプログラム「オージ・スペシャリスト・プログラム」について、TAが継続していくことを明言。現在(ATE開催時点)で、日本人スペシャリストは318名。246名がプログラムを受講しているという。「このプログラムは各州の基本情報だけでなく、フード&ワイン、自然、文化などオーストラリアに関する幅広い知識が得られるもの」として、さらに多くの旅行会社関係者の受講を促した。

 このほか、マカボイ氏は日本/オーストラリア間の航空事情にも触れ、「座席供給量が以前と比較すると減っているのは理解している。各航空会社は収益性を考えて路線展開をしている。路線拡大と需要拡大は鶏と卵の関係。我々の立場としては需要拡大に努めていく」と話した。また、路線拡大にはオーストラリアから日本へのアウトバンド市場の拡大も望まれるところだが、これについてマカボイ氏は「2013年は日豪観光交流年に指定されている。日本政府観光局(JNTO)のシドニーオフィスと一緒に活動をしているところだ」と話し、ツーウェイ・ツーリズムの促進にも意欲を見せた。

 2012年のオーストラリアへの日本人渡航者数は前年比6.4%増の35万3900人で国際市場では第5位の規模。日本人旅行者の現地消費額は16億豪ドルと高い数字を残した。マカボイ氏は「日本は50万人市場になる潜在性がある。それに合わせて、消費額も2020年度までには27億から33億豪ドルに増加すると見込んでいる。昨年も日本市場に多くの投資をしたが、今後もその方向性は変わらない。日本へのコミットメントを引き続き強めていく考えだ」と強調し、日本市場への期待感を示した。